スズキ「ジムニー5ドア」乗ってみた! 3ドアと何が違う? 後席&荷室はどんな感じ? 先行して体感した印象は
くるまのニュース / 2024年9月5日 12時10分
日本では3ドアモデルが展開されており、海外ではそれに加えて5ドアモデルも設定されているスズキ「ジムニー」。3ドアと5ドアではどのような違いがあるのでしょうか。
■ スズキ「ジムニー」 3ドアとは違う5ドアの印象は?
様々なユーザーから注目されているスズキ「ジムニー」。
現在、日本では3ドアモデルが展開されており、海外ではそれに加えて5ドアモデルも設定されています。
そんなこともあり、日本のユーザーからは「5ドアを日本に入れて欲しい」という声も少なくありませんが、先行してフィリピンで体感した印象はどうだったのでしょうか。
注目度高い! ジムニー5ドアは乗るとどんな印象?(画像提供:「アピオ」の河野仁社長)
最近のクルマ市場には、“クロカン四駆”のリバイバルというムーブメントが見られます。
1980年代から1990年代にかけて一大ブームとなったクロカン四駆は、オートキャンプブームにのって一気に一般化しました。
その後、燃費などの面から急速に市場が縮小化し、より乗用車ライクなステーションワゴンやミニバン、そしてSUVへとユーザーが分散していきます。
しかし、現代ではスタンダードとなったSUVがその市場を確立できたのは、間違いなくクロカン四駆という存在があったからです。
それから30年以上が経って時代が一巡し、再びクロカン四駆にユーザーの熱視線が集まっています。
今回もまたキャンプブームという風が吹いたことも注目されている要因ですが、高まる自然災害への不安やスマートとは逆ベクトルの生き方への標榜など様々なニーズが重なり、クロカン四駆に乗る人が増えています。
ここ一年を見ただけでも、トヨタ「ランドクルーザー」シリーズや三菱「トライトン」といった悪路走破性をウリにする車種が爆発的ヒットを記録。
市場とは関係のないミニバンや軽ワゴンなどもその影響を受けて、いわゆる「ゴツ顔」にするモデルも登場しました。
そんな最近の市場におけるパイオニアとなったのは、2018年に登場した4代目のスズキ「ジムニー」と「ジムニーシエラ」です。
3代目ではSUVのスタイルを意識したデザインとなりましたが、“原点回帰”を謳った現行モデルは2代目を彷彿させるシンプルなものに変更。
開発当初、社内で「ダンボールで作ったようなクルマ」と評されたというデザインは、あくまでも見切りを優先させたスクエアなもので、ボディの四方には突起物らしいものがほぼありません。
これはクロカン四駆の祖であるジープが、悪路走破性や生産性を考えて辿り着いた究極のカタチを踏襲したもの。
これが現代のユーザーに受け入れられるかはスズキにとって大きな賭けだったようですが、現行型ジムニーの大成功がその後登場するランドクルーザー250やトライトンにも少なからず影響を与えたことは間違いありません。
そんなジムニーですが、メーカーにも予想外の需要があったことで生産計画に狂いが出たことは周知の通りです。
特に日本での注文は爆発的なものとなり、年間販売目標台数(ジムニー12000台、シエラ1200台)を大幅に上回ることになります。
その結果、納車待ちがあっという間に1年以上となり、増産された現在でも半年から1年待ちという状態が続いています。
欧州やオセアニア、アジアでも大人気のジムニー(シエラ)ですが、2023年1月にインドで「ジムニー5ドア」を発表。
インドを筆頭に、インドネシア、オーストラリア、メキシコ、南アフリカなどで販売されて高評価を得ています。
しかし、日本では3ドアモデルの納車の遅れから、依然として日本導入の見通しが立っていないのが現状です。
そうした中で日本では2024年に入って、並行輸入されたジムニー5ドアが様々なイベントで展示されるようになり、ようやくユーザーが実車を見られるようになりました。
とは言え、500万円近い価格というもあって、購入するのはパーツメーカーや富裕層といった一部に限られており、一般化するまでには至っていません。
イベントで車内に入ったという人の感想は様々で、「車内の後ろが想像以上に広く、早く買いたい」という人もいれば、「後席がそれほど広くなかった」という人もいて賛否両論。
そもそも全長で+435mm、ホイールベースで+340mmという数値ですから、それほど“広い”という空間になるわけがありません。
それよりも、5ドア化の最大のメリットは後席へのエントリーのしやすさと荷室の拡大。
これによって3ドアでは拒否反応を示していたファミリーユーザーを取り込むことができ、さらに3ドアの積載性に不満を抱いていた層も納得させられるということが大きいのではないでしょうか。
■先行してジムニー5ドアに乗ったプロはどう感じた?
では、ジムニーのプロは5ドアモデルをどのように見ているのでしょうか。
先だってフィリピンで開催された「ストリートショーガレージ」にゲストとして参加し、その会場でジムニー5ドアを試乗したジムニープロショップ「アピオ」の河野仁社長に聞いてみました。
「イベント会場内の試乗という条件付きではありましたが、明らかにシエラ3ドアとは違うフィーリングに仕上がっています。
エンジンのフィーリングはシエラと大差ないように感じましたが、大きな違いはステアリング操作時のフィーリングと乗り心地。
ホイールベースが拡大していることが主な要因だと思いますが、とにかく乗り心地がいいんです。
3ドアのようにセンシティブなところが少なく、ゆったり乗れるという感じです。
またステアリングのフィーリングも、適度な重みが増しており、全体的にはミドルクラスのSUVをドライブしているような印象を受けました」
後席を倒した「ジムニー5ドア」はこんな感じ?(画像提供:「アピオ」の河野仁社長)
乗り味に好印象を持った一方で、多少ガッカリした部分もあったといいます。
「後席を倒した状態です。3ドアは後席の背もたれを倒すとフルフラットになるように設計されていますが、5ドアでは前に倒れるだけ。
背もたれの部分は車内に大きく張り出しているし、しかも床面が斜めになるため、デッドスペースが多いんです。くわえて、後席を固定する金具が突き出ているのも気になります。
これではせっかく5ドアにしたのに、積載性はそれほどではないし、車中泊もできません。
多くのスズキ車がフルフラットになることをウリにしているので、これでは日本のユーザーはちょっとガッカリでしょう」
※ ※ ※
フロア下の構造物などの関係から、日本導入時に改善されるとも思われず、果たしてこうした部分に日本の市場がどう反応するかが気になるところです。
ちなみにフィリピンでのジムニー5ドアは、日本円にして400万円以上で販売されている高級車。富裕層が趣味で乗るクルマとなっており、一般ユーザーには縁遠いようです。
日本では、トヨタのコンパクト・クロカン四駆「ミニランドクルーザー(仮称)」の発売も近づいていると言われており、こちらは300万円台の値付けが予想されています。
これに対抗するには300万円以内のプライスでなければ厳しそうですが、それでも「出れば買いたい」というユーザーの多い、ジムニー5ドア。
ジムニーEVの動向も気になりますが、そろそろ日本での発売を決めてもらいたいものです。
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