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「ちょっとッ!何してるの!」 私有地での「無断駐車」どうする? 勝手に移動は逆効果? 聞き慣れない「自力救済禁止の原則」とは何なのか

くるまのニュース / 2024年10月3日 9時10分

SNSでは度々無断駐車に対する対応が話題となっています。私有地に無断駐車された場合には警告文の貼付やレッカー移動を行いたい衝動に駆られますが、これはやめておいたほうがいいかもしれません。どのような法律に触れるのでしょうか。

■勝手に止めないで! でも…無断で撤去すると、逆に損害賠償請求をされるおそれも?

 ときどき私有地に長期間自動車が放置され、土地の管理者が車両を撤去できずに頭を抱えるケースがみられます。
 
 では、一体なぜ撤去が難しいのでしょうか。

え? めちゃ放置されてるじゃん! タイヤはパンク…。 このクルマなクルマに対してできることは?(画像提供:ユーザー)え? めちゃ放置されてるじゃん! タイヤはパンク…。 このクルマなクルマに対してできることは?(画像提供:ユーザー)

 以前、兵庫県内にある大型スーパーの駐車場に大量の放置自動車が駐車されているとして話題になりました。

 これら車両の多くは所有者が意図的に乗り捨てたものとみられ、中にはバンパーが大きく破損したりタイヤが無くなったりしているクルマもありました。

 実は同様の事例は全国各地で発生しており、過去には神奈川県川崎市の東扇島東公園の駐車場に大型バスが1年以上放置されたことも。

 さらには、羽田空港の駐車場にも複数のクルマが数年単位で放置されるなどトラブルが後を絶ちません。

 特に月極駐車場や店舗の駐車場などにクルマを放置されると、その区画が利用できなくなり営業にも悪影響が出てしまいます。

 また放置車両が公道ではなく私有地にあることから、基本的には警察の権限で移動することも難しいといえるでしょう。

 このような放置車両の問題に対してはSNS上で「他人の私有地にクルマを放置するようなヤツの方が権利強い感じになるのが何ともいえない」「自力救済の禁止について理解はできるが、無断駐車の問題は各地で起こっているので速やかに問題を解決する仕組みを構築すべき」などの意見が寄せられました。

※ ※ ※

 しかしこのような場合であっても、土地の管理者(所有者)が放置車両を勝手にレッカー移動・処分してはいけません。

 なぜなら民法には「自力救済禁止の原則」があり、土地の管理者の権利を侵害するような状態が発生していても、裁判所を通さずに自力で侵害を排除することはできないと決まっているためです。

 もし土地の管理者が放置車両を無断で処分してしまうと、管理者が「器物損壊罪」に問われたり、後日クルマの所有者から処分に関して損害賠償請求をされたりするおそれがあります。

 土地の管理者側としては到底納得できるものではありませんが、現状は正式な手続きを踏んで放置車両を撤去する必要があるといえるでしょう。

 では、一体どのような手順で対処すべきなのでしょうか。

■放置車両を発見したら…どうする? 何ができる?

 私有地に放置車両がある場合、まず車両の写真撮影と、いつから駐車されているかなどの記録を残した上で警察に相談しましょう。

 私有地である以上、基本的には警察が放置車両の移動はできないものの、その車両が盗難車や何らかの犯罪に使われたものであれば警察が証拠品として引き上げることがあります。

 次に盗難車などに該当しなかった場合は、土地の管理者が放置車両の所有者を特定しなければいけません。

 具体的には放置車両が登録自動車ならば最寄りの運輸支局に、軽自動車ならば軽自動車検査協会に車両の照会を依頼して、所有者を明らかにします。

 たとえば放置車両が登録自動車のとき、運輸支局で「登録事項等証明書」の交付請求をおこないます。

 この請求に際しては車両が放置されている場所や放置期間といった情報のほか、放置車両の写真が必要となるため事前に準備しておくことが大切です。

 さらに照会によって放置車両の所有者が判明すれば、所有者の住所あてに「車両の撤去」や「損害賠償金の支払い」などを求める内容証明郵便を送ります。

 これに対して所有者が応答しない場合や撤去を拒否した場合などは、車両の撤去と土地の明け渡しを求める訴訟を起こす必要があります。

自分の駐車枠に無断で駐車された場合でも進路を塞ぐなど勝手な対処はしてはいけない(画像はイメージ)自分の駐車枠に無断で駐車された場合でも進路を塞ぐなど勝手な対処はしてはいけない(画像はイメージ)

 そして訴訟で土地の明け渡しが認められてようやく、車両の処分やレッカー移動といった強制執行の手続きができるようになります。

 放置車両に価値があれば競売にかけて売却代金を受け取ることもできますが、撤去に際しては車両の開錠費用や運搬費用、人件費などがかかるため、費用面でマイナスとなる可能性が高いと考えられます。

 実際のところ車両の所有者と連絡がつかず、裁判所の許可を受けてはじめて撤去が可能となる事例も多く、土地の管理者にとって非常に労力がかかる手続きといえるでしょう。

※ ※ ※

 現在の法律では残念ながら、長期間の放置駐車をされると土地の管理者にとって「やられ損」となってしまいます。

 土地の管理者が駐車場に防犯カメラやゲートを設置するなど予防策を講じることも重要です。

 しかし、何より放置駐車の厳罰化や車両撤去手続きの簡略化など根本的な仕組みの改善が求められます。

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