スズキ本格「軽スポーツクーペ」が凄い! まさかの「ガルウィング×ミッドシップ」採用モデル!? パワフルな「ターボエンジン」搭載した、まさにな「軽スーパーカー」とは
くるまのニュース / 2024年10月26日 10時10分
かつてスズキは、ガルウイングを備える「軽スポーツクーペ」を販売していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■スズキで買えるガルウイング「軽スポーツカー」
スズキは、かつてガルウイング式ドアを装備した「軽スポーツクーペ」を販売していました。
クルマ好きでも知らない人が少なくない同車について、概要を紹介します。
そのクルマとは、スズキが1993年から1995年まで販売していた「CARA(キャラ)」というモデルです。
同車は軽自動車でありながらミッドシップレイアウトを採用する、本格的なスポーツカーでした。
また、先述のようにスポーツカーらしさを強調したガルウイング式ドアを備えるだけでなく、ハンドルのロックトゥロック(ハンドルを左右どちらかに目いっぱい切ったあと、反対側に目いっぱい切るときに何回転必要かという数値)は2.2回と、機敏な操作性を発揮。
さらに720kgという軽量なボディも相まって、「究極のハンドリングマシーン」という触れ込みでした。
ちなみに一般的なクルマのロックトゥロックは3回程度なので、2.2回というとかなり少ないことが分かります。
しかし足回りの設計上、コーナーを曲がる際にスピンや横転が起こりやすく、さらにリア部分に重さが集中していたためフロントタイヤの接地面積が足りないなど、直進安定性が低いという課題も抱えていました。
くわえて価格が151万3000円からと、当時の軽自動車にしては高く、発売時期がバブル崩壊の最中であったこと、またトランスミッションにATが用意されていないなど様々な理由から、キャラの販売台数は低迷。約3年で販売終了となりました。
そんなキャラですが、その中身はマツダが製造・販売していた「AZ-1」とほぼまったく同じクルマで、マツダから供給されてスズキブランドで発売したOEM車です。
キャラとAZ-1の違いは、エンブレムがマツダからスズキになっていることや、屋根部分の“AZ-1”のロゴを“SUZUKI”に変更していること。
また、リア部分のロゴも“AZ-1”から“CARA”に変更されているほか、フロントバンパーにビルトインされたフォグランプが標準化されていることが挙げられます。
キャラのボディサイズは、全長3295mm×全幅1395mm×全高1150mm、ホイールベースは2235mm。
極めて低いエクステリアに、先述のガルウイングドアが特徴として備わった、非常にスポーツカーらしいデザインです。
なにより日本車で乗降ドアにガルウイングドアを採用したのは、このキャラとAZ-1が初めてでした。
そのほかボディはスケルトンモノコックという特殊なフレームを採用しており、理論上は上部のボディを外した状態でも走行できるという、珍しい構造のクルマでもありました(ただしその状態では公道走行は不可)。
インテリアは、ルーフ部分のガラスに光の透過率を30%に抑えたセラミック処理を施すことにより、車内の快適性をアップ。
メーターパネルの中心に、スピードメーターではなくタコメーターを配置したデザインも、同車のレーシーな特徴です。
またインテリア上でのAZ-1との違いとして、フォグランプ用のスイッチが搭載されています。
シートは本格的なバケットシートを採用。背もたれの左右の“ヘリ”を高くすることでドライバーの体を包み込み、ハードなコーナリングでも体が左右に揺すられない構造で、究極のハンドリングマシーンにふさわしいシートです。
面白いのはパワーユニットで、最高出力64馬力・最大トルク85Nmを発揮する、657ccの直列3気筒DOHCターボエンジンをミッドシップに搭載していましたが、OEMモデルながらエンジンだけはスズキ製のものが採用されていたのです。これはAZ-1も同様でした。
トランスミッションは5速MTのみを用意し、後輪を駆動します。
ボディカラーは、「クラシックレッド」と「サイベリアブルー」の2色を展開していました。
※ ※ ※
マツダの技術力を借り、スズキの軽スポーツクーペとして登場したキャラ。
発売した時代が向かい風となってしまったため販売台数が伸びず、また現代の基準で考えれば安全性に難点があったとも言えますが、その稀少価値から中古車市場では新車価格以上のプライスが付けられている例も珍しくありません。
30年経った現在では、マニアックな需要を抱えた貴重なクルマとなっています。
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