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ええっ!?「富士スバルライン」廃止で「登山電車」へ転換するって!? 富士山五合目まで「電車だけ」になるって!? 大混雑の解決策「富士山登山鉄道」の全貌とは

くるまのニュース / 2024年10月30日 7時40分

富士山の五合目までをむすぶ道路「富士スバルライン」が、将来的に「富士山登山鉄道」に変身する計画があります。いったいどう変化するのでしょうか。

■富士スバルラインが電車に!?

 日本の最高峰である「富士山」。
 
 登るためには、山梨県側と静岡県側の計3ルートがありますが、そのうち山梨県富士吉田市からのルートは、有料道路「富士スバルライン」で五合目まで到達することとなります。
 
 その富士スバルラインが、将来的に「富士山登山鉄道」に変身する計画となっています。一体どんな計画で、どう便利になるのでしょうか。

 富士山登山鉄道は、東富士五湖道路の「富士吉田IC」付近の山麓ターミナル駅(駅名は全て仮称)を起点とします。そこから富士スバルラインをそのままトレースして、五合目駅までのぼっていきます。総延長は25~28kmで、いざという時に緊急車両を通すため低床式のLRTが想定されています。

 観光鉄道の意味合いもあるため、途中駅として一合目、樹海台、大沢、奥庭の4駅が設置される計画。最大2両編成で1本あたり120人を運べる想定です。検討想定では登り52分、下り74分。登り平均速度は32km/hです。

 そもそもの背景が、オーバーツーリズムにより景観や環境が悪化し、ユネスコからも「人の多さ」「環境負荷の大きさ」「人工的景観」を改善すべきと長年言われながら改善が進まず、世界遺産取り消しの可能性もあるという状況です。

 根本的解決には、マイカー規制だけでなく観光バスも含めた「完全シャットアウト」しかなく、代わりの交通手段として山麓~五合目は鉄道に一本化するというものです。

 今ある道路にそのまま線路を敷くだけで、架線も無い(埋め込み集電式やバッテリー運転)なので、富士山に人工物は増えず、自然改変も発生しないので、本来の「自動車排除」とは一石二鳥というわけです。

 さらに公共交通が独占することで、付加価値性に行政側の強力なイニシアチブが発生し、「観光地価格」を導入することも可能となります。これにより「無謀な弾丸アタック」「無計画でルール無頓着な登山」という迷惑層を排除することが容易になります。

 さて、2023年は計画が本格化した時期で、県知事みずから地元説明会へ出向くなど活動が続けられました。そこで様々な課題も浮き彫りになりましたが、その課題は並行して調査が行われてきました。その調査の中間結果が、2024年10月28日に発表されました。

■「富士山登山鉄道」ほんとに作れるの?

 よく取り沙汰されるのが「急カーブを曲がれるのか」「急勾配を上れるのか」というもの。一番きついところで、「半径40.5m、勾配80パーミル」「半径29.5m、勾配53パーミル」という2か所の「急カーブしつつ急勾配」ポイントがあります。

箱根登山鉄道箱根登山鉄道

 これについて、中間報告では似たような事例を紹介。都電荒川線の王子駅付近に「半径49m、勾配67パーミル」という急カーブ急勾配ポイントがあります。結論では正直「きびしい」として、「安全走行を検証して必要な場合にはレールへ摩擦調整材などの塗布などを行う必要がある」としています。

 また、最急勾配は88パーミルになる想定。一般的な車輪と線路の鉄道(粘着式)で日本の最急勾配は箱根登山鉄道の80パーミルですので、富士山登山鉄道は未知の領域になります。

 研究結果ではポルトガル・リスボンに135パーミルという事例があるとしつつ、ブレーキをどうするかが重要な課題だとしています。通常の摩擦ブレーキや回生ブレーキに加え、セラミック粉を散布して摩擦をさらに上げる装置も想定されています。さらに「全車両をモーター搭載車にすることでパワーも確保できる」という想定もあります。

 報告書のうちかなりのページ数が急カーブ・急勾配に割かれていて、いかに重要なファクターであるかが浮き彫りになっています。

 ほかにも、高地特有の強い寒さや、山岳地帯ならではの落ち葉の問題、バッテリー走行と集電のバランスなど、やはり「未知の領域」がたくさんある富士山登山鉄道。車両メーカーも「全く新たな車両開発」として、見積を行うのも現時点で難しいと回答しています。

 中間報告では、さらなる検討が必要としつつ、方針転換を余儀なくされるほどの絶対的な困難ではないという内容になっています。

 ※ ※ ※

 確実なことは、富士山登山鉄道が開業すれば、山梨県道路公社が運営管理する「富士スバルライン」は完全に通行終了となります。現在、7月~9月の約2か月はマイカー規制となっていますが、開業後は通年で山麓駐車場に停めて入山することとなります。

 まだ事業化に向けた道のりは決して短くないですが、山梨県の危機意識は強く、機運は高まりを迎えています。

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