知ってたら「おじさん」!? 一定速度越えたら車内で「キンコン」…“謎の警告音”実は若者にも人気ってホント!? 今のクルマで聞けなくなった「納得の理由」とは
くるまのニュース / 2024年12月31日 14時10分
昭和時代、高速道路走行中に一定速度を超えると車内に「キンコン」と鳴り響いていたことを覚えていますか? 一時期国産車には速度超過警告ブザーが装着されていました。懐かしいと思った方は世代がバレるかも。警告ブザー設置の経緯や消えた理由を紹介します。
■今は聞けない「あの音」とは
その昔、高速道路走行中に一定速度を超えると車内に「キンコン」といった音が鳴り響いていたことを覚えている人もいるかもしれません。
いったいどんな意味があり、なぜ今は消えてしまったのでしょうか。
この「キンコン」という音は「速度超過警告ブザー」というものでした。
このブザーの設置が定められたのは1974年11月。運輸省令45号「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令」では、一定速度を超過した際に警告音が鳴るように定めています。
高速道路の制限速度を超えないようにするものであるため、普通車は100km/h、軽自動車は80km/hを超えると「キンコン」が鳴る仕組みでした。このブザーが無いと車検に通りませんでした。
当時シートベルトの義務化がすでにはじまっていましたが、今のようなエアバッグの技術はなく、速度超過による重大事故の抑制が重要だったと考えられます。
その後速度超過警告ブザーは1986年3月、同保安基準が改正されて廃止となりました。廃止理由のひとつには、海外からのクルマの輸入問題があります。
1980年代に日本の自動車生産台数は世界1位となり、日本から米国への過剰なまでの自動車輸出が日米貿易摩擦の原因となっていました。国際関係や経済バランスを良好に保つべく、日本はクルマの海外輸出を規制すると同時に、逆に海外車の輸入拡大も図ります。
しかし、海外車を輸入するにあたって、そうした「日本国内の独自ルール」が課題になったのです。速度超過警告ブザーも同様で、車内に設置するコストや手間は頭の痛い課題でした。そのため、海外からスムーズにクルマを輸入する対応として規制の撤廃が進められました。
また、もう一つの理由として、高速道路で「キンコン」音が一定のリズムで流れ続けることが、眠気を誘ってしまうというのも1つの理由でしょう。
クルマの安全性能は年々改善し、高速道路での事故死亡者数は平成を迎えるまでに年々減少していきました。そういった状況も撤廃の背景と考えられます。
■「レトロでいいね」あえて後付けする人も!?
1986年に速度超過警報ブザーが廃止されすでに38年経ちます。その頃子どもだった筆者(きずき)も、親の運転するクルマの後ろで「キンコン」音が鳴っていたのを覚えています。
1982年に登場したホンダ「プレリュード」(2代目)のメーターパネル
キンコン音を聞いて懐かしいと思うことで、世代がバレてしまうかもしれませんね。しかし若者の間でも、いまだ知名度は衰えていないようです。
そのきっかけは、人気のアニメ「頭文字(イニシャル)D」で主人公が乗るトヨタ「スプリンタートレノ」(AE86)の走行中に「キンコン」音が鳴ったことでした。
アニメを見た若い人たちは何の音かわからず、大手質問サイトやSNSなどで「あれは何の音なのか」などと質問しています。30年以上前の装備では知らないのももっともですね。
さらに人気のパチンコ「頭文字(イニシャル)D」でも、この「キンコン」音が使われています。大当たりを予測させる場面でキンコン音が鳴るのでパチンコ好きな方の間では話題です。
そうしたアニメ作品の影響もあって、「古き良き時代への憧れ」で、速度超過警報ブザーを「後付け」する人も出てきています。
たとえばとあるオークションサイトでは、「カローラレビン/スプリンタートレノ」用のトヨタ純正速度超過警告ブザーの中古部品が出品され、1万円以上の値段がついていました。
いっぽうお手軽なところでは、スマホでこの「キンコン」音が鳴らせるアプリも出ているようです。ただのおもちゃではなく、きちんとスマホのGPS機能により速度算出を行なって、実際に速度超過と判断すれば音が鳴る仕組みです。
とはいえ現在では、新東名をはじめ最高時速が100km/hを超える高速道路も増えており、もはや実態とは合ってきていません。エアバッグなどクルマの安全性も向上していることから、速度超過警報ブザーはその役目をほぼ終えています。
もっともこうした「警告ブザー」自体は、自動運転が普及してくることにより、速度の状況や前方の状況などをドライバーに知らせる機能として必要になってくることも考えられますね。
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