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全長3mで「新車475万円」! めちゃ小さい「高級コンパクトカー」がスゴい! 匠“手仕上げ”の「超豪華内外装」×6速MTも採用! 異例すぎた「アストンマーティン・シグネット」とは

くるまのニュース / 2024年12月18日 19時10分

世界に名だたる高級スポーツカーメーカー アストンマーティンがかつて販売した「シグネット」。異例づくしともいえる特殊なモデルですが、なぜ販売したのでしょうか。

■異例すぎて「不人気」… しかし逆にいま“プレミア価格”に

 1913年の設立以来、洗練されたエクステリアや、職人の手仕上げによる高品質なインテリア、強力なパワーユニットがもたらす第一級の走行性能などで数多くの名スポーツカーをリリースしてきた英国の老舗ブランド アストンマーティン。
 
 これまで、ル・マンやF1などのモータースポーツでの活躍や、映画「007」シリーズで主人公が乗る「ボンドカー」としてのイメージなど、英国上流階級が愛用するスポーツカーのイメージが強いですが、実はかつて「街乗り用コンパクトカー」を販売していたことがありました。

名門「アストンマーティン」による小型車の傑作「シグネット」名門「アストンマーティン」による小型車の傑作「シグネット」

 それが、アストンマーティン「シグネット」です。2011年から2013年まで生産され、ボディサイズは全長3078mm×全幅1680mm×全高1500mm。

 アストンマーティンらしいエレガントさを、非常に小さなボディに詰め込んだ、シティコミューターです。

 当時のアストンマーティンによると、都市部のモビリティに対するラグジュアリーなソリューションとして設計されたと言います。

 エクステリアデザインは、アストンマーティンシリーズに共通する、翼をモチーフにしたフロントグリルや、ボンネットとフロントフェンダーにはダクトを装着。

 リアにも当時のアストンマーティンらしいクリアテールを装着し、ブランド名に恥じぬプレミアムなしつらえを実現しています。

 インテリアも同様で、手縫いの最高級本革素材を各トリムやシートにふんだんに使用。ルーフ素材も一部モデルでは人工皮革「アルカンターラ」を用い、細部の加飾やスタッチなども、アストンマーティンのクラフトマンシップによって豪華に仕上げられています。

 なお、外装色と内装色のコーディネートは、ユーザーの好みによって自由に組み合わせることが可能で、最高級乗用車らしく多彩なバリエーションを持っていました。

 そんなシグネットですが、実はイチからアストンマーティンで開発・製作されたものではありませんでした。本当の正体は2008年11月にトヨタから発売された4人乗りコンパクトカー「iQ」。

 2008年に発売されたiQは、優れたシャーシ性能、コンパクトさ、高い安全性能を持ち、こうしたスペックが評価されてアストンマーティンのベースに選ばれたといいます。

 パワーユニットも、iQに搭載の1.3リッターの直列4気筒エンジンとCVTまたは6速MTを組み合わせ、駆動方式もFFです。

 しかし、トヨタ車がベースとはいえ、アストンマーティンらしいこだわりのクルマづくりは不変で、トヨタで製造されたあと、アストンマーティン本社の英国ゲイドンで一度解体。

 150時間をかけて、先述した内外装パーツを取り付けた上、さらに各部に遮音材の追加や、エンジンやミッションのマウントを変更。静粛性も向上させていました。

 なおシグネットは日本にも正規輸入され、新車価格(消費税込)は475万円からに設定されていました。

 iQの新車当時のベースグレード価格140万円に比べると3倍近い価格設定(とはいえアストンマーティンモデルとしては破格)であったこともあり、販売は苦戦。英国でも非常に苦労し、総販売台数は150台未満という話もあります。

 では、なぜ高級スポーツカー専門メーカーたるアストンマーティンが、このようなコンパクトカーを販売したのでしょうか。

 実は、その大きな理由のひとつに「企業別平均燃費基準(通称:CAFE)」をクリアする目的があったと言われています。

 当初は数千台規模での生産も視野に入れられていたましたが、先述の通り非常に拭き人気となってしまったことで、今では“激レア車”といえる存在になりました。

 登場から10年以上が経過した現在、その希少性が注目されているようで、新車時を上回る600万円超えの中古車も販売されるなど、プレミア価格がつく状態となっています。

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