ホンダが「新型プレリュード」25年発売へ! 新たな“スポーツカー”は「操る楽しさ」感じるモデルに! さらに五感を刺激する「次世代のスポーツハイブリッド技術」も体感
くるまのニュース / 2024年12月18日 11時30分
ホンダが2025年に発売する新型「プレリュード」や次世代のハイブリッドを仮で搭載した「ヴェゼル」に試乗しました。どのようなモデルだったのでしょうか。
■まさに羊の皮を被った「ハイブリッドタイプR」
2025年発売予定のホンダ新型「プレリュード」プロトタイプに試乗して、「まさか、こんな凄い走りをするとは!」と、筆者(桃田健史)は心底驚きました。
場所は、栃木県内にあるホンダのテストコース。高速周回路では最高時速120kmで直線走行し、バンクがついてコーナーでは時速100km程度、さらにワインディングコースをハイペースで走行しました。
ホンダ新型「プレリュード」[画像はプロトタイプ]
その走りは、筆者(桃田健史)の想定を遥かに超える、上質でスポーティかつ「速い!」と感じる見事な出来栄えでした。
背景には、ホンダ独自のハイブリッド技術である「e:HEV」の進化があります。
しかも試乗中、そして試乗後にホンダのエンジニアやホンダ幹部らは「きょうお乗りいただいたこのクルマは、ほぼ量産レベル」と言い切ったのです。
新型プレリュードは、2023年10月開催の「ジャパンモビリティショー2023」で「コンセプト」として世界初披露され、来年2025年1月の「オートサロン2025」で「プレリュード プロトタイプ」が公開される予定です。すでに量産への流れが確定したと言えます。
テストコースに出現したプレリュードのプロトタイプは、外観をカモフラージュしているものの、ボディデザイン全体はコンセプトモデルに近い印象です。
ドアを開けると、試乗車両は左ハンドル車。インテリアはセンターコンソールが少し高めにセットされ、スポーツカーらしいシートポジションが確保されています。
ボディ寸法は未公開ながら、車幅がかなり広いことが車内からも分かるものの、前方方向への見切りはとてもよく感じます。
走り出してまず感じたのは、軽快さです。
ただし、現行「シビック」が目指した“爽快”とはちょっと違う印象があります。
実はプレリュード、車体は現行「シビックタイプR」をベースにホイールベースを短くするなどした専用設計です。
そのため、デュアルアクシス・ストラットサスペンション、制御ダンパー、そしてブレンボ製ブレーキなどを採用した上で、開発者は「(普段遣いでの)乗り心地に振った」セットアップをしていると話します。
今回、シビック e:HEVとも乗り比べましたが、シビックの“爽快さ”や、シビックタイプRの“カッチリさ”とも違う「スポーツカーらしさ」が、プレリュード独自の世界観と走り味を感じます。
■注目の新機能「Honda S+ Shift」 クルマの“キャラ変”がスゴい!
パワートレインは現行シビック用をベースに、そこに新機能「Honda S+ Shift」を搭載したもの。現行の「リニアシフトコントロール」を大きく進化させた形だと言えます。
このHonda S + Shiftは新型プレリュードを皮切りに、次世代e:HEV搭載の全機種に順次搭載される予定です。
キャラ激変の「Honda S + Shift」に注目[画像はプロトタイプ]
新型プレリュードにはホンダの次世代ハイブリッド技術は搭載されないものの、次世代への技術革新の幕開けを象徴する存在といえます。
そのためホンダとしてもユーザーへ強いインパクトを持ったメッセージを打ち出すことが必要なのだと、今回の試乗を通じて痛感しました。
それほど、プレリュードの走りは秀逸です。
Honda S + Shiftの狙いは、「ドライバー操作とクルマの応答がシンクロし、体感、聴覚、視覚を刺激する、“五感に響く意のまま”を最大化」すると定義しています。
特徴は3つのシフトモード、「コンフォート」「GT」「スポーツ」それぞれに対して、Honda S + Shiftをオン・オフできることです。
例えば、スポーツモードでHonda S+ Shiftをオンにしてみましょう。すると、ダッシュボードにタコメーターが出現し、仮想の最大8速シフトが作動します。
加速時は仮想6000rpmのレッドゾーンぎりぎりでシフトアップしていきます。
駆動用モーターで「シフトをしているようなフィーリング」を再現し、これをエンジンと発電モーターと緻密に連動させるのです。
シフトアップもシフトダウンが、まるで高性能なトランスミッションがついているような、「切れ味の良い」シフトフィーリングが味わえます。
そしてエンジンサウンドもとても良いです。
エンジン自体の「生音(なまおと)」に加えて、サウンドをクリエーションしているのですが、シフトフィーリングを含めて「ギミック」というネガティブなイメージがまったくないところが、真の次世代ハイブリッドを目指すホンダのこだわりと言えるでしょう。
この音は、Honda S + Shiftをオンの状態で、コンフォート、GT、そしてスポーツの順で存在感が増す設定としています。
さらに良かったのが、ワインディング走行時に直線からゆるい左コーナー、さらにその先のS字コーナー、そして急な上りのヘアピンから下りでの細かいS字、といったシチュエーションでの、クルマの操りやすさです。
特に、スポーツモードでHonda S + Shiftがオンの状態だと、減速時のシフトダウンがコーナー進入への程よいタイミングでポンと入ります。
それによって、クルマの姿勢が落ち着くような、いわゆる「セットアップした感覚」がドライバーの全身に伝わるのです。
これにより、かなりハイペースで走っても、ドライバーの心の余裕が生まれます。そこからアクセルを軽く開けると、加速のレスポンスも極めて高いため、S字コーナーでの姿勢変化をアクセルコントロールでつくりやすくなります。
上り坂に向かうヘアピンでも、シフトダウンからクルマのセットアップ、そして鋭いターンインからコーナー脱出へ。
まさに、「操る楽しさ」そして「ワクワク感」が、身体の中から湧き上がってくるのが分かります。
こうした回頭性・旋回性の良さから「これって、AWD?」と思ってしまうような、優れたFF(前輪駆動車)です。なおホンダによれば、新型プレリュードにAWDに設定はありません。
また、コンフォートではHonda S + Shiftにしても、自動のシフトダウンは行われませんが、開発者によると「大切な人をMT車で隣に乗せて、すこし控えめにシフトするイメージ」でパドルシフト(減速コントローラー)を操作することが推奨するといいます。
ホンダだけではなく他社を含めたこれまでのハイブリッド車でも、スポーツモードなどの設定はありますが、プレリュードの「あまりに強烈な“キャラ変”」にはたいそう驚かされました。
最も分かりやすいのが、「ノーマルでHonda S + Shiftなし」と「スポーツでHonda S
+ Shift あり」との比較です。
シフトダウンのありなしや、音、電動パワステ制御など、「制御によって、ここまでクルマの動きが変わるものなのか!」というのが素直な感想です。
正直なところ、「3つのドライブモード」×「Honda S+ Shiftあり・なし」で、合計6パターンをユーザーがどこまで使い分けるかは、かなり個人差があるでしょう。
それでも、その日の気分や走行状況に応じて、プレリュードを「キャラ変」させるのは、走る歓びを広げることは確かです。
これを実現できるのは、発電用と駆動用の2つのモーターを持ちつつ、エンジンと駆動軸をクラッチによって直結することもできる、ホンダ独自技術 e:HEVのポテンシャルが幅広いからだと言えます。
さらに今回、試乗の場では外観を「ヴェゼル」で仮装した次世代e:HEVの実験車両を走行させることができました。
「ヴェゼル」をベースにした次世代「e:HEV」の実験車両
これはホンダが「次世代小型e:HEV」と呼ぶパワーユニットで、1.5リッターの直列アトキンソンエンジンと後輪を出力50kWの電動AWDユニットで動かす四輪駆動です。
これに、先ほどと同様のHonda S + Shiftを装備していますが、この実験車両では現行ヴェゼルの基本設定を継承し、ドライブモードはノーマルとスポーツの2つのみ。スポーツモードでHonda S + Shiftが機能する仕組みです。
クルマ全体の動きは、現行車と乗り比べると、リアを電動化させたことで動きの自然さ、軽快さ、さらに操りやすさが加わったほか、加速時のEVモードでの出足の良さや、エンジン始動とのつながりの良さなど、明らかに「五感」の印象が異なります。
技術的には、コーナー進入時に回生駆動配分による回頭性の重視、旋回中は安定性重視、そしてコーナー出口ではトラクション性重視をAWD機構で実現。そこにHonda S + Shiftが加わることで、「五感」を刺激するのです。
加えて今回、2リッターエンジン搭載の「次世代中型e:HEV」のパワーユニットも世界初公開し、搭載する次世代の中型プラットフォームを展示しました。
※ ※ ※
ホンダ初の量産型ハイブリッド車、初代「インサイト」が発売されてから、今年で25年目。
次世代ハイブリッド技術、e:HEVはこれからますます、ユーザーにとってワクワクする存在になりそうです。
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