トヨタが「Woven City」の最新状況を発表! Phase1建築の完成経て、2025年秋以降にローンチへ 豊田会長は何を語った?
くるまのニュース / 2025年1月7日 13時55分
トヨタは、米国ラスベガスで開催されているCES 2025にて、モビリティのテストコース「Toyota Woven City」のPhase1の建築が完了し、2025年秋以降のオフィシャルローンチに向けて、その準備を本格化することを発表しました。
■モビリティのテストコース“Toyota Woven City”、Phase1の建築を完了し、準備を本格化
2025年1月7日にトヨタは、アメリカ・ラスベガスで開催されているCES 2025にて「Toyota Woven City(以下、Woven City)」の進捗状況を発表しました。
Woven Cityとはどのようなもので、現在そして今後はどうなっていくのでしょうか。
トヨタは2018年のCESでモビリティカンパニーへの変革を宣言しています。
そして、2020年のCESではWoven Cityの構想を発表。ウーブン・バイ・トヨタ(以下、WbyT)とともに、開発を進めてきます。
Woven Cityは、トヨタグループの中で、「人を想うイノベーションを生み出し、モビリティの変革」に挑戦し、人、モノ、情報、エネルギーの移動を進化させ、モビリティの常識に挑み続けることで、人の可能性が拡がる世界を創造してきました。
主には、自動運転・先進運転支援技術、車両ソフトウェア開発プラットフォーム「Arene OS(アリーン OS)」をはじめ、モビリティのためのテストコース「Toyota Woven City(トヨタ・ウーブン・シティ)」、トヨタのグロースファンド「Woven Capital」を通じて、安全でよりつながる社会の実現と幸せの量産を目指しています。
その中でWoven Cityの開発については、2021年2月23日に地鎮祭を実施。
静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本(以下、TMEJ)の東富士工場の跡地にリアルなテストコースとして建設を開始しました。
2024年10月末には最初に実証を開始するPhase1の建物が完成。今後は内装工事やインフラなどの準備を本格化させ、2025年秋以降に実証を開始し、オフィシャルローンチを迎える予定だと言います。
なお設計にあたり、環境への配慮のみならずクオリティ・オブ・ライフの向上などヒトを中心に据えた取り組みを行っていることが認められ、日本で初となる「LEED for Communities」で最高ランクであるプラチナ認証を取得しています。
さらには、TMEJ東富士工場の建屋を一部残し、Woven Cityにおけるモノづくりの起点として活用すべく、リノベーション工事を進めていくようです。
今後は、Phase2の造成工事もすでに開始しており、Phase1での学びを生かしながら、モビリティのテストコースとして求められる要件を明確にし、Phase2以降の計画に反映していくとしています。
今回のWoven Cityは「自分以外の誰かのために」という思いをもつInventors(インベンターズ/発明家)が「モビリティの拡張」を目指し、自らのプロダクトやサービスを生み出し、実証を行う場です。
このInventorsはトヨタを含むトヨタグループ企業だけでなく、社外の企業やスタートアップ、起業家など同じ志をもつ企業や個人も含まれるといい、トヨタが長年培ってきたものづくりの知見やWbyTがもつソフトウェアのスキルなどの強みを生かしたツールやサービスなどのしくみを社外のInventorsでも活用することで社会課題の解決や未来のための新価値創造をサポートしていくとしています。
その他、住民やビジターからリアルなフィードバックを受けながら、様々なInventorsとのコラボレーションを通じて、未来につながるイノベーションを生み出していくようです。
そんなWoven CityのInventorsにおいて、現在参画が決まっているのは以下の企業です。
ーーー
・ダイキン工業株式会社
Woven City実証テーマ:「花粉レス空間」や「パーソナライズされた機能的空間」に関する実証実験
・ダイドードリンコ株式会社
清涼飲料等の製造販売
Woven City実証テーマ:自動販売機を通じた新たな価値創造
・日清食品株式会社
Woven City実証テーマ:新たな「食文化」創造に向けた食環境の構築とその環境が及ぼす影響の検証
・UCCジャパン株式会社
Woven City実証テーマ:未来型カフェの運営を通じたコーヒーの潜在価値の実証
・株式会社増進会ホールディングス
Woven City実証テーマ:データ活用による先進的な教育スタイル及び新しい学びの場の実現
ーーー
また上記に加え、公表済みのENEOS株式会社、日本電信電話株式会社、リンナイ株式会社とも引き続き検討を進めているようです。
■今後のWoven Cityはどうなる?
今後はスタートアップや起業家、大学・研究機関などにもWoven Cityを利用してもらうことを想定しているといい、その一つの取り組みとして、2025年夏頃にアクセラレータープログラムの募集開始を予定。
これはInventorsと同じく、住民やビジターはWoven Cityにおいて重要な役割を担うものです。
Woven Cityでは住民及びビジターをWeavers(ウィーバーズ)と呼び、「モビリティの拡張」への熱意と、「より豊かな社会を目指し未来をより良くしていきたい」という強い思いを持った、実証へのフィードバックを通じて、Woven Cityにおける価値を共創する人を指します。
Woven Cityの住民は、2025年秋以降のオフィシャルローンチ時点で、トヨタ及びWbyTなどの関係者とその家族100名程度を想定。
その後社外のInventorsやその家族などに少しずつ拡大していきます。
Phase1エリアでは最終的に約360名を予定しており、Phase2以降も含めて将来は2000名程度となる予定です。
ビジターについても、関係者から受け入れ開始し、2026年度以降に一般ユーザーもWeaversとして実証に参加出来る予定だといいます。
テストコース“Toyota Woven City”、Phase1の建築を完了し、準備を本格化
また、陸・海・空のモビリティをさらに宇宙に拡大することを視野に、WbyTは今回インターステラテクノロジズ株式会社に対する出資及びトヨタのモノづくりの知見を活かしたロケット量産化のサポートを決定しています。
■CES2025でトヨタの豊田章男会長は何を語った?
このように着実に開発が進められているWoven Cityですが、CES2025でトヨタの豊田章男会長は次のように述べています。
「トヨタと聞くと、おそらく皆さんはクルマの信頼性や品質、お手頃価格といったことを思い浮かべられるでしょう。
一方で、『未来の実証都市』を真っ先に思いつくことは少ないかもしれません。
しかし5年前のCES2020でトヨタは実証都市をつくると発表しました。それがウーブン・シティです。
ウーブン・シティは、美しい富士山のふもとに位置しています。ここは人が住み、働き、楽しむだけの場所ではなく、あらゆる新しいプロダクトやアイデアを発明・開発できる場です。
住民たちが自発的に参加する、実証実験の街であり、インベンター(発明家)は実際の生活環境で、新しいアイデアを安全かつ自由に実証できます。
ウーブン・シティは、未来の暮らしを考え、向上させる仲間を、世界中から歓迎します。
そして本日、ウーブン・シティのフェーズ1の竣工を発表させていただきます。
今年から住民が住み始め、徐々にリアルな実証の場として発展させていきます。
フェーズごとに住民は増加し、最終的には約2,000名が住む予定です。住民にはトヨタ従業員やその家族、定年を迎えた方、小売店舗、実証に参加する科学者、各業界のパートナー企業、起業家、研究者などが含まれます。
ウーブン・シティの交通手段はすべて低排出、もしくはゼロエミッション…理由はサステナビリティが私たちが取り組む優先事項の一つだからです。
そして日本で初めて、コミュニティに対するLEED認証カテゴリで、最高ランクであるプラチナを取得しました。
ウーブン・シティでは、4つの領域の研究とイノベーションに注力していきます。
ヒト、モノ、情報、そしてエネルギーのモビリティです。ここを『モビリティのテストコース』とし、私たちが抱える課題の解決策を開発していきます。
ウーブン・シティの住居も未来のテクノロジーのための実証の場となります。例えば、日常生活をサポートしてくれる在宅ロボットもそうです。
私たちはいま、搭載したカメラで人間の動きを観察して家事を学習するロボットを開発中です。
一例ですが、このようなテクノロジーを、ウーブン・シティで開発して、実証することを考えています。
自動化した物流や、e-Paletteの自動運転による移動など、自動化にも取り組みます。
自動運転は人工知能(AI)含め、ウーブン・シティで開発予定の数多くのテクノロジーの一つです。
特に、AIを活用し、ウーブン・シティの範囲を広げていきたいと考えています。
これで、外部の方々と、ウーブン・シティで取り組んでいるプロジェクトをバーチャルにつなぐことができます。
彼らはウーブン・シティでのバーチャルな私を作ろうとしています。ただし、それはまだ作成中のものです!
2021年に着工したウーブン・シティは、Woven by Toyotaのチームメンバーが愛情を込めて作り上げています。
Woven by Toyotaはこのプロジェクトをサポートする、独立した会社で、世界中の60以上の国と地域から集まった2,200人のチームメンバーが在籍しています。
Woven by Toyotaのミッションはヒト中心のテクノロジーを作り、モビリティを拡張して、幸せを量産することです。
さて、皆さんは『ウーブン・シティはトヨタに収益をもたらすのか』と考えているかもしれません。
おそらく、そうはならないでしょう!しかし、それで構いません。
グローバル企業市民として、私たちの未来に投資し、トヨタが培ってきた知見や技術を他の人たちと共有し、地球と人々に幸せをもたらす新しいアイデアを支援する責任があると考えています。
新しいアイデアで人々を幸せにする、それがウーブン・シティをつくった理由です。
今年の夏にはピッチコンテストを開催し、経済的支援が必要なスタートアップや個人がウーブン・シティでアイデアを実現するための資金を提供します。
トヨタの強みと、自動車産業ではない業界の強みを組み合わせることで、一社や一人では創りだせない新しい価値や新しいプロダクト、新しいサービスを創りだせると信じています。
私たちはこれを『掛け算による発明』だと考えています。
一緒に取り組めば、スカイ・イズ・ザ・リミット、不可能なことはありません!
スカイ、空といえば、私たちはロケットにも着目しています。
モビリティの未来は、地球や自動車会社1社に制限されるべきではありません!
トヨタはもうすぐ100周年を迎えます。
ただし自動車会社としてではなく、世界初の自動織機のインベンターとしてです。
トヨタはクルマづくりから始めたのではなく、布を織ることから始まりました。それが、将来ウーブン・シティに住む方を『Weavers(ウィーバーズ)』と呼んでいる理由です。
クルマのテストドライバーと同様に、ウーブン・シティの住民には、インベンターが開発した新しいプロダクトやサービスを体験していただき、未来を共に紡いでいく大切な役割を担っていただきます。
ウーブン・シティではコラボレーションが全てです。多様な視点や才能、能力を一つの布に一緒に織り込み、私たちの未来の当たり前を創るチャンスです。
その未来で、私たちはヒトだけではなく、心も動かしたいと考えています」(一部中略)
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