「クルマの燃料って凍るの?」 気温5度で凍る可能性も? 気をつけるべきはディーゼル車だった! 使われる「軽油」の種類に注意!? 原因やトラブルの解消方法、対策は?
くるまのニュース / 2025年2月1日 15時10分
ディーゼルエンジン車に乗っていると、真冬に「セルは回っているのに動かせない」という場合があります。その際、疑うべきは「軽油の凍結」です。
■軽油によっては5度でクルマを動かせなくなるケースも
「水と油」という言葉があるように、これら2つはともに液体でありながら互いに混ざりにくい性質を持ちます。一方で、水と油には共通点もあります。
それは、「凍ってしまうこと」。水はそれ自体が氷点下で凍り、油は種類と温度によって成分の一部が凍ります。食用油であれば、オリーブオイルは-4度〜、ごま油は-6度〜と、部分的に凍ります。
では、「クルマの油」はどうでしょうか。つまり、ガソリンなどの燃料は凍るのかという疑問です。
結論から言えば凍ります。
一般的な乗用車に使用されるガソリンは-90度〜-100度程度が、凍って固まってしまう凝固点となっています。
もっとも、この温度は南極で観測される最も低い気温 と同程度なので、ごく普通の社会生活を送っている限りは、ガソリンが凍ることを気にする必要はないでしょう。
しかし、現実的に凍ってしまうケースがあるのが、軽油です。
日本で販売されている軽油は5種類の規格があり、「特1号」の流動点は5度です。特1号が最も流動点が高い(=凍りやすい)軽油となっています。
流動点とは、その液体が固まらず流れることができるギリギリの温度です。
軽油には、ワックスの働きをするパラフィンという成分を含んでいます。しかし、パラフィンは温度が下がると結晶となってしまうことが、軽油の流体としての動きを奪う原因です。
先ほど、軽油の特1号の流動点は5度であることを挙げました。となると「夏場以外は使えないのでは?」と思うでしょう。
その通りで、特1号が1年を通して供給・販売されているのは沖縄県のみです。
あとは、地域ごと、月ごとに推奨される軽油を示す「軽油使用ガイドライン」が日本工業規格(JIS)で定められており、地域別として13地域(北海道、道南、中部山岳、東北、関東、北陸、山陰、東海、近畿、山陽、四国、九州、沖縄)にて推奨される種類が記載されています。
寒さの厳しい地域を例に挙げると、道南以外の北海道は7〜8月は「特1号」、5〜6月・9〜10月は「1号」。
4・11月が「2号」、12月は「3号」、1〜3月が「特3号」というのが、使用する軽油の目安となっています。
最も凍りにくい特3号の流動点は、-30度。一方、日本での観測史上、最も低い気温は-41度です。
これは明治時代の記録です。近年の気候変動の環境下では、ここまで下がることは考えづらいとはいえ、近い気温となり軽油が凍る可能性はゼロではありません。
また、特3号以外が使われる地域でも平年以上の冷え込みとなってしまい軽油が凍ってしまうことも考えられます。
もし軽油が凍ってしまったら、配管などを温めて流動化させる方法があります。
しかし、これはスキルを要する作業で、うまくいかないとクルマを傷めてしまうことも。
そのため、原則的には気温が上がり流動化するのを待つか、ロードサービスなどを手配し応急処置をしてもらう方法を採ることになります。
実際、日本自動車連盟(JAF)のウェブサイトでも、軽油が凍った際は「JAFへ救援要請をお願いします 」と明記されています。
また、寒冷地で生活していなくても、帰省や旅行で訪れることもあるでしょう。その場合も、軽油の凍結に注意する必要があります。
ディーゼルエンジン車で寒冷地に向かう際は、現地に着いたところで給油をすると凍結を防げます。
事前に燃料タンクを空けておき寒冷地用の軽油を多く給油する方法もありますが、燃料切れで立ち往生してしまう場合もあるため、おすすめできません。
この点で、マツダ「CX-5」の取扱説明書には「寒冷地域に移動するときは、現地に着くまでに燃料の残量が1/2以下になるようにしておき、到着後はできるだけ早く寒冷地用の燃料を補給してください」と。
三菱「デリカD:5」の取扱説明書にも「フェリーを利用して寒冷地域に移動するときは、移動後すぐに寒冷地用の燃料を補給できるよう、乗船前の燃料の残量を1/2以下にしておいてください」と明記されています。
なお、寒冷地仕様車の中には燃料フィルター内部の軽油を温める機能が搭載されている場合もあります。
具体例として、三菱の寒冷地仕様車にはこれと同等の「ヒューエル ライン ヒーター 」と名付けられた機能があります。
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