超ロングノーズの日産「高級“2人乗り”クーペ」がスゴイ! 590馬力超えの「V6」ユニット搭載! 豪華「ルイ・ヴィトン」トランクもイイ「インフィニティ エッセンス」とは
くるまのニュース / 2025年1月27日 15時30分
2009年開催のジュネーブモーターショーで世界初披露され、その後日本にも来日した「インフィニティ エッセンス コンセプト」とは、どのようなクルマだったのでしょうか。
■日本の文化とインフィニティのデザイン言語を融合
自動車メーカーが、今後販売するクルマの方向性や技術、デザインを示す「コンセプトモデル」は、世界各国で開催されるモーターショーやイベントなどで披露されています。
コンセプトモデルは、現実離れした斬新なデザインが多い傾向ですが、その中でも量産モデルにうまく落とし込まれて発売され、脚光を浴びるクルマがあります。
2009年にスイス・ジュネーブで開催された「サロン・アンテルナショナル・ド・ロト(通称:ジュネーブモーターショー)」で日産の高級ブランド「インフィニティ」が世界初公開したコンセプトモデル「INFINITY ESSENCE(インフィニティ エッセンス)」は、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」とコラボレーションしたラグジュアリー・ハイブリッドスポーツカーで、斬新なデザインながらも市販モデルに近い形状で披露され、後に発売された量産車の源流となった1台でした。
インフィニティは、日産が1989年に北米市場を主なターゲットに、高級車市場における競争力を高めるために設立された高級車専門ブランドです。
2009年はインフィニティ設立20周年となり、エッセンスはそれを記念して製作されたコンセプトモデルでした。
エッセンスのボディサイズは、全長4720mm×全幅1960mm×全高1310mm、ホイールベースは2800mmのラージサイズで、2人乗りの2ドアクーペとなっています。
エクステリアデザインは「Dynamic Adeyaka(艶やか)」をテーマに、人間界と自然界の両方からインスピレーションを得て開発されました。
また、日本の古い伝統を現代的に解釈しデザイン要素に加え、インフィニティの歴史にはなかった全く新しい形で、それまでのインフィニティのデザイン言語と融合して誕生させたものでした。
そのスタイルは、彫刻的でありながらも繊細なデザインで力強さを表現、見る人に驚きを与えました。
ロングノーズ・ショートデッキのクーペスタイルはインフィニティの常套手段ではありましたが、フロントとリアのホイールアーチの間に流れるように描かれた波の輪郭があり、クラシカルな雰囲気も演出しています。
サイドウィンドウは棚の上に置かれているように見え、その鋭いラインは、そのすぐ下にある上部ボディの凹面の曲線と対照的な印象です。リアでは、C字型の折れ目からリアピラーに流れ落ちる、複雑な曲線が印象的です。
サイドエアベント周りのトリムは、女性の和装装飾品のひとつ「かんざし」にインスピレーションを得たアルミニウムで精巧に仕上げられたシンプルでありながら繊細な形状をしています。
またボディラインは、書道で書かれる太い筆づかいからインスピレーションを得たもので、日本の象徴的な文化とクルマの美学を融合させていました。
フロントは非常にミニマルなデザイン。グリルはステンレススチールの繊細なストリップで縁取られていますが、照明付きのINFINITIバッジを除いて装飾はなく、エアインテークやフォグランプも省略されています。
インテリアは左右非対称の形状となっており、シート間の大きく湾曲したコンソールで運転席と助手席のエリアを分け、運転席側は黒を基調とし、助手席側は赤を基調としたデザインにしています。
インフィニティとルイ・ヴィトンのコラボレーションは、エッセンスのトランクにちょうど収まるスーツケースでした。ルイ・ヴィトンは、1908年に初めての自動車業界のコラボとして、コーチビルダーとして有名なケルナー社と協力し、当時の高級リムジンに特注のカーゴセットを搭載したという歴史があり、インフィニティ エッセンスは再びその伝統を再現しました
パワーユニットは、3.7リッターV型6気筒ツインターボエンジン「VQ37型」に、新しい「3D型」モーターを組み合わせたハイブリッドで、システム総合最高出力は592馬力としていました。
エッセンスは、その後に販売されたインフィニティ「Q60」に大きな影響を与えました。
エッセンスの披露の4年後、2013年に開催された北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)で初披露されたコンセプトモデル「Q60コンセプト」に、デザインの考え方が引き継がれ、2016年に2代目Q60としてデビューしました。
このように、エッセンスはインフィニティの未来を示した“デザインアイコン”の役割を果たしていました。
今後登場するコンセプトモデルも、未来の“デザインアイコン”となるのではないか、という考え方で見ると、また違った発見があるのではないでしょうか。
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