「過積載ぜったいやめて!」 “異常な量”を積んだ「重量オーバーの迷惑トラック」を検挙! ドライバーも運送会社も“荷主”も「全員処罰です」 茨城県警が「取締強化」宣言
くるまのニュース / 2025年1月20日 20時10分
茨城県警は公式SNSで、貨物車による過積載の取り締まりを強化すると明らかにしました。
■大迷惑な「過積載トラック」 事故リスク増大
茨城県警は2025年1月16日、公式SNSで貨物車による過積載の取り締まりを強化すると明らかにしました。
茨城県警ではこれまでも悪質な過積載車を検挙しており、2025年も引き続き街頭検査などを行っていくものとみられます。
過積載とは、貨物車それぞれに定められている「最大積載量」をオーバーした状態のことを指します。
荷台から荷物がボロボロこぼれてきそうな山積みの状態ではなくても、重たい積荷によってはちょっとの量でも十分に過積載になることがあります。
過積載の目安ですが、たとえば東京都は「一般的に土砂の最大積載量は、ほぼ荷台の高さです」としています。つまり、荷台より上に「土が盛り上がっている」時点で、すでに過積載の可能性が高いということです。
ではなぜ過積載は危険なのでしょうか。
まず、荷台から落ちてきそうな状態で積載するのは論外です。廃材などをいちどに全部持っていこうと、パズルのように荷物を組み合わせて積むトラックもありますが、揺れて落ちる危険があります。
そうすれば後ろのクルマにあたったり、交差点で歩行者に落ちてくれば大事故になります。
また大きく重たい荷物を積んでいると、その分ブレーキが効きづらくなります。これは物理の法則なので抗うことはできません。
全日本トラック協会の資料によると、80km/hで走行している10トントラックで正しく10トンを積んでいる場合の制動距離は、50.3mです。
対して、同じトラックで80%過積載の18トン積み状態では20m延長の70.3mと、トラック2台分、もしくは電車1両分も伸びてしまうのです。
そうすると万が一、人やクルマが飛び出してきたら、いつもどおりにブレーキが効かずに突っ込んでいくことになります。
突っ込んでいくエネルギーも、80%オーバーの質量に比例するので、相手がいた場合、その相手に与える損害も大きくなります。
このほかに、「最大積載量」という設計で想定した重さをオーバーしている状態という点でも非常に危険です。
運転時は、遠心力や横風で左右にふらついたりバランスを崩しやすくなって、横転したりするおそれもあります。
あるいは、トラック自体も荷台やシャシが耐えきれず、走行中に折れてしまい操縦不能になったり、車両故障して立ち往生する可能性もあります。
さらに、決まりを守って運転している人に対しても、迷惑をかけます。
例えば重さで道路を穴ぼこだらけにしたり、橋を痛めつけたり、重くて加速しないことから、アクセルを目一杯踏んで、周囲に排気ガスを撒き散らすようなことが起きます。トラックの燃費も著しく悪くなって、劣化を招くでしょう。
当然事故を起こせば、過積載だった点が非常に厳しく追求されるでしょう。
決まりを守らなかったことで多額の損害賠償が請求されるだけでなく、「あそこのトラック会社はルールを守らないところだ、うちからは運送を任せないようにしよう」と、社会的にも制裁を受けることになります。
さらに、こうした処分は過積載車を運行していたドライバーや運送会社だけにとどまりません。「この荷物を何時までに何処何処へ運べ」と依頼した“荷主”にも責任が追求されます。
何度も警告しているのに改善されない場合、数日から数年にわたってそのトラックを運転したり、運転させたりすることを禁ずる「使用制限処分」や、懲役または罰金刑が下ります。
しかし、過積載は依然として全国で非常に多く行われており、ブレーキが効かずに突っ込んだ事故や、踏切で立ち往生して電車と衝突した事故なども起きています。
これは荷主が非常に強い立場にあることも要因で、運送会社やドライバーたちが「過積載だからこの量は無理だなぁ」と正しい判断をしても、「仕事をくれてやっているのに、なぜできない」として報酬を下げたり、契約を打ち切るといったことがあるため、嫌々運ばざるを得ないということもあるのです。
なお、茨城県警では白バイや覆面パトカーを使って、過積載の可能性があるクルマを見つけては測定所に連れていったり、臨時で測定所を設けてその場で検挙しているほか、県と合同で荷主や荷物の行先などをチェック。特に産廃運搬に関しては目を光らせています。
茨城県警は「重量制限を守って、大切な命と道路を守りましょう!」と呼びかけています。
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