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「小型ミニバン」なぜ「シエンタ&フリード」しか存在しない? 日産は「キューブ“ミニバン”」作らないの? 全長4.4m以下のミニバンに他社が参入しないワケとは

くるまのニュース / 2025年1月23日 15時30分

コンパクトミニバンといえば、トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」が独占している状態です。ほかのメーカーが参入しないのはなぜなのでしょうか。

■コンパクトミニバンはナゼ車種が少ないのか?

 SUVには、軽自動車から全長が5mを超えるレクサス「LX」まで、さまざまなサイズの車種が豊富に用意されています。ところがミニバンは車種が少なく、ボディサイズによるラインナップの格差も大きいです。
 
 全長が4.6~4.8m前後のミドルサイズミニバンは、トヨタ「ノア/ヴォクシー」、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」、三菱「デリカD:5」と相応に設定されており、どれも堅調に売れています。

 ところが全長が4.4m以下のコンパクトミニバンは、実質的にトヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」しかありません。

 日産「NV200バネット」は商用車をベースにしたミニバンとあって、ほとんど売れていません。

 コンパクトミニバンの車種が少ない理由を考えてみると、稀に海外でも売られることがありますが、基本的には国内専売です。

 しかもミニバンは、ミドルサイズを中心にファミリーユーザーが対象ですから、価格競争が激しいです。スライドドアや3列シートなどの機能が充実する割に、価格を安く抑えないと堅調に売れません。

 つまりコンパクトミニバンは、コンパクトカーや軽自動車のような、薄利多売のカテゴリーなのです。

 そうなると、国内で大量に販売できるメーカーでないと、コンパクトミニバンを手掛けられません。そこで小型車の販売台数が多いトヨタのシエンタとホンダのフリードに限られます。

 日産はどうでしょうか。同社の関係者は以下のように言います。

「日産はかつて、『キューブ』の後継になるような背の高いコンパクトカー、シエンタやフリードのライバルに相当するコンパクトミニバン、『シルビア』の再来になるミドルサイズクーペなどを開発していました。

 それが、リーマンショックが発生した2000年代の後半から2010年代の前半に掛けて、開発が凍結されました」

 コンパクトミニバンは海外で販売しにくく粗利も少ない商品ですから、日本国内の販売力が強く、なおかつメーカーの開発費用に余裕がないと実現できません。

 もともとフリードの前身になる「モビリオ」は、2001年に発売されて売れ行きを伸ばし、2008年に後継の初代フリードに切り替わりました。

 初代シエンタは、モビリオのライバル車として大急ぎで開発され、2003年に発売されています。

 モビリオが燃料タンクを前席の下に搭載して車内後部の床を低く抑えたので、シエンタは薄型燃料タンクを開発して同様の低床効果を得ました。そして薄型燃料タンクは、現行シエンタにも受け継がれています。

 このように、フリードとシエンタは、20年以上も前から根強い乗り替え需要があり、今でも成り立っています。

 2024年の1か月平均登録台数は、シエンタが約9300台に達しており、フリードは2024年5月まで先代型でしたが約7100台になります。両車ともに販売は絶好調です。

 他社でミニバンを手掛ける商品企画担当者は「フリードとシエンタが好調に売られ、お客様のニーズを満たしています。ほかのメーカーがコンパクトミニバンを発売しても、どの程度売れるか分かりません」といいます。

 海外で売りにくい国内市場向けのカテゴリーでは、既存の売れ筋車種が存在すると、新規参入が難しい事情もあるのです。

■アルヴェル一強の「Lサイズミニバン」はどうなのか?

 コンパクトミニバンは2車種しかありませんが、Lサイズミニバンには、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」、日産「エルグランド」、ホンダ「オデッセイ」、レクサス「LM」があり、車種は相応にそろっています。

 しかし、売れ行きはアルファード/ヴェルファイアの圧勝です。

 2024年の1か月平均登録台数は、アルファードが約6600台、ヴェルファイアは約2800台でしたが、エルグランドは約120台です。オデッセイは約1000台でしたが、LMは約480台に留まります。

 つまりLサイズミニバン全体の約60%をアルファードが占めており、姉妹車のヴェルファイアも加えると85%に達します。それ以外のLサイズミニバンは、全車を合計してもカテゴリー全体の15%です。

トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」

 アルファード/ヴェルファイアのような人気車種があると、その他の車種は苦戦するのはコンパクトミニバンと同様ですが、最近は状況が変わっています。独特の豪華さにより、中国などの海外市場でも、日本のLサイズミニバンが好まれているからです。

 そこで現時点では売れ行きが少ないものの、オデッセイは一度国内生産車を廃止した後で、中国製の輸入を開始しました。

 日産も以前はエルグランドの新車開発を終了して、2010年に登場した現行型を細々と売っていましたが、改めて新型の開発を再開したようです。以前はミニバンとは無縁だったレクサスも、LMを2代目モデルから国内導入しています。

 なおLサイズミニバンには、ミドル/コンパクトミニバンとは異なるニーズもあります。それは法人の重役などが使う社用車です。

 かつて日産にはプレジデントやシーマ、ホンダにもレジェンドがありましたが、今は廃止され、その結果、エルグランドやオデッセイを社用車に使う法人が見られます。

 社用車は乗り替えや各種の点検を定期的に行うため、販売会社にとって重要な顧客です。そのために発売から14年以上を経過したエルグランドを今でも売り続けたり、オデッセイの輸入販売を再開したのです。

 しかも販売店では「法人のお客様が重役の使う社用車のメーカーを変更すると、営業車も含めて、すべての車両のメーカーが変わる場合もあります」といいます。

 つまり重役の使うクルマが日産のエルグランドからトヨタのアルファードに変わると、荷物を運搬する「キャラバン」や「AD」まで、トヨタの「ハイエース」や「プロボックス」に置き換わることになりかねません。

 また日産の販売店では「エルグランドのお客様の乗り替えを考えて、セレナに最上級の『e-POWERルキシオン』を用意しましたが、狙い通りになりませんでした」といいます。

 ホンダもステップワゴンに上級の「スパーダプレミアムライン」を設定しましたが、販売店によると「オデッセイからの乗り替えは少ない」とのことです。

 そうなるとLサイズミニバンでは、今後も新車開発が進められ、アルファード/ヴェルファイアに対抗できる新型車が登場する可能性もあります。

 逆に薄利多売のコンパクトミニバンは、今までと同じく、フリードとシエンタで少数精鋭のラインナップが続くでしょう。

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