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川口JCTにある謎の行先「東領家」って何だ!?「どこにある?」「いつも気になる」の声も “マニアック地名”が高速看板に採用された「納得の理由」とは

くるまのニュース / 2025年2月6日 17時30分

東北道の都心方面の案内看板に、「↑銀座 東領家」という表示があります。聴き慣れない「東領家」には一体何があって、なぜこの地名を採用しているのでしょうか。

■東北道「川口JCT」案内板にある謎の地名

 東北道の都心方面の案内看板に、「↑銀座 東領家」という表示があります。
 
 銀座はともかく「東領家」という地名は聴き慣れません。東領家には一体何があって、なぜこの地名を採用しているのでしょうか。

 東北道から都心へ向かう場合、川口JCTからそのまままっすぐ直通して、首都高川口線を南下していくこととなります。

 その川口JCTの手前に、この「銀座 東領家」という案内表示があります。

 銀座という地名は全国区なので、「真っすぐ進むと都心へ行くんだな」と分かります。しかし東領家はそうはいきません。カーナビでもこれを踏まえて音声案内するのですが、知らない人には「どこ?」となるかもしれません。

 ネット上でも「永遠の謎」「そんな地元に住んでる奴しか分からんような地名出されてもどのあたりだかわかんねーよランキングに入る」「高速の案内でしか見ないし聞かないけどどこにあるんだろ。異世界?」「東北道から帰るときいっつも気になる」「どこやねん東領家って」といった声が見られます。

 この「東領家」自体は、直通先の首都高川口線にある出入口のひとつです。川口JCTを過ぎて、新井宿・安行・新郷・足立入谷・加賀を経て「6駅目」に位置します。都心方面行き(上り線)の出口のみ、というミニマルな構造です。

 東領家は埼玉県川口市に属していますが、東京都との都県境に位置し、足立区とのつながりも強い地域です。最寄り駅は埼玉高速鉄道の「川口元郷駅」もしくは日暮里・舎人ライナーの「舎人公園駅」で、いずれも1.5kmほど離れています。

 明治時代は「南平柳村」に属し、1933年に合併して川口市となり現在に至ります。

「領家」というのは、平安時代後期~鎌倉時代に存在した身分で、土地を開発したあとに、開発者から寄進を受けて貴族や寺社などが領主となったものです。

 鎌倉時代になると「地頭」として武士が地方自治に任命されましたが、もともと同じことを領家が務めていたので、地頭が領家に職務を委託したり、地頭が領家の支配をどんどん奪っていくなど、各地でトラブルや権力交代が起きていきました。

 そうした背景で、地域によっては土地が「地頭派」「領家派」に分かれていることもあり、地名にも反映される場合があります。旧北足立郡でもかつて多数の「領家村」という名の自治体があったことに、複雑な歴史事情が現れています。

■なぜ東北道の案内に「東領家」が?

 川口JCT手前の看板で案内する地名で、池袋や葛西(湾岸線)などの広域地名やJCT名を採用せず、「東領家」を採用したのには、理由はあるのでしょうか。

国が標識地名に指定する地名(画像:国土交通省)。国が標識地名に指定する地名(画像:国土交通省)。

 看板を設置したNEXCO東日本に尋ねたところ「主要な都市や生活圏の中心となっている市町、著名な地点などを採用しています」とのことでした。

 この案内標識の地名採用に関するルールは、国道の場合、国が通達「案内標識の表示地名に関する基準」を出しています。高速道路会社はこれを準用したり、これを元に独自のルールを制定している場合があります。

 さて、その基準では、地名を広域な順に、基準地(特に重要)・重要地(県庁所在地や政令市、地方中心都市)・主要地(二次生活圏の中心都市)・一般地に分類。

 主要幹線道路の場合は「原則として重要地、あるいは主要地」、幹線道路の場合は「一般地もふくむ」、補助幹線道路は「いずれもOK」など、その使用原則に違いを持たせています。

 そのなかで「東領家」は、埼玉県・東京都のいずれの「主要地」にも含まれておらず、それ以外の「一般地」扱いになる地名です。繰り返しになりますが、この通達は国道や県道、市道に適用するものであって、NEXCO管理の高速道路である東北道は適用外です。

 それでは、国の目安でも「主要でない地名」扱いされている東領家が、なぜ採用されたのでしょうか。

 実はこの「東領家出口」は、鹿浜交差点で「環七通り」に直結しているのです。

 都内をぐるりとつなぐ幹線道路の筆頭格ですが、足立区内の「ほぼ唯一のまともな東西道路」と言ってもいい存在で、ここで環七に乗らなければ、隣接する別のエリアへ到達することは困難。その意味で、首都高川口線の中でも特に重要な出口となっています。

 それを裏付けるように、首都高の案内マップでも「環七通りをご利用の方はこの出口をご利用ください」とわざわざ吹き出しで注釈を入れるほど。

 つまり、ドライバーにとっては「環七=東領家出口」という「事前認識」が頭に入っていることになります。

 となると、川口JCT手前でも、環七から都内移動したいドライバーにとっては「とりあえず東領家で下りるぞ」「東領家で下りたい」という意識が強まっています。そんな中で、川口JCTの複雑な分岐の際に「東領家は直進です」と案内されることが、脳の記憶と直結してくれるので、咄嗟の判断に助かるというわけです。

 もちろん、東領家出口の手前では「環七通り 川口」という補助案内があります。しかしそもそも川口JCTでうっかり外環道へ行ってしまっては、元も子もありません。そこで、まずは首都高川口線にきちんと入ってもらうために、東北道の段階で「東領家」という案内を出しているのです。

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