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常識を変えた 新型「Aクラス」、走りはCクラス、装備はSクラス以上!?

くるまのニュース / 2018年5月2日 10時20分

日本でも人気のコンパクトカー、メルセデス・ベンツAクラス。ついにフルモデルチェンジした新型モデルが登場です。メルセデス・ベンツが4年以上に渡って開発し、その過程で4大陸を述べ1200万キロも走って開発した新型「Aクラス」はどんなクルマに仕上がっているのでしょうか

■これまでの自動車の価値観を変える存在、それが新型「Aクラス」

 メルセデス・ベンツの新型「Aクラス」はまさに「今までの自動車の価値観を大きく変えるインパクトを持った存在」、そんな表現がふさわしい1台です。今回、筆者(河口まなぶ)はクロアチアのスプリトという街を舞台に開催された、新型Aクラスの国際試乗会に参加したわけですが、真っ先に感じたのが冒頭の言葉のような印象でした。

 なぜなら新型Aクラスは従来通り、欧州Cセグメント(以下Cセグ、日本でいうコンパクトカークラス)に属すモデルですが、まずはこのCセグの常識をことごとく覆している存在なのです。

 この理由はまず乗って走らせた印象にありました。

 今回の新型「Aクラス」試乗会で、筆者が最初に乗ったのは「A250 エディション1」というモデル。メルセデス・ベンツが新型モデルの導入時に必ず用意する限定モデルです。

 「A250」の装着タイヤは19インチで、可変ダンピングシステムを備えた仕様だったのですが、これを走らせた瞬間、「Cクラスに並んだ?」と思ったほどでした。そう、1セグメント上の同社の基幹車種であるCクラス並みに、乗り心地が優れていたからです。

 その感覚は、まるで路面をきれいに踏み慣らして真っ平らにした上を走っているかのように感じさせるほどでした。路面の荒れたところや段差も見事にいなしており、実に滑らかに走り出したからです。これはもはや、このクラスのどのモデルも超えている、と思えたほどでした。

 またカーブを曲がる際なども、ハンドルを操作していくと、軽い操作感ながらもしっかりと芯を感じ、ほとんどクルマが傾かないような感触でスッと曲がっていきます。この辺りはいかに新設計のボディがしっかりと作られていて、そこに取り付けられた足回りがよく動いているかの証です。

 走行時の静粛性の高さも優れており、この辺りも同クラスのライバルを置き去りにした感があります。しかもこの「A250」の場合は、エンジンと室内の間にある隔壁の前に、もう一枚、遮音のためのカバーを取り付けていることもあって、エンジンのノイズ等はしっかりとカットされています。この結果、気持ち良い回転音だけを伝えてくれるわけです。

 こうして新型Aクラスは、“走る・曲がる・止まる”というクルマの基本性能において、この欧州Cセグの常識を覆しているのです。この辺りはさすがに、4年以上に渡って開発され、その過程で4大陸を述べ1200万キロも走って開発しただけある、といえる部分です。

 さらにADAS(運転支援)を含んだ安全装備も、今回のAクラスはこの欧州Cセグの常識を覆しています。簡単にいってしまえば、上級のEクラスやSクラスと同じ装備が与えられているのです。

 自動ブレーキはもちろん、前走車との距離を一定に保ってアクセル/ブレーキ/ハンドルをクルマの側で操作してくれる、「アクティブ ディスタンス アシスト ディストロニック」のステアリング・アシスト付きが与えられます。さらに「ブラインド スポット アシスト」は、車両を路肩の駐車枠に止め、エンジンを停止した後も3分間有効。このため、クルマから降りる時の後側方から来る車両や自転車に対しても反応します。

 そしてEクラスに搭載されて話題となった、ウインカー操作だけで車線変更する「アクティブ レーン チェンジ アシスト」は、複数車線道路で時速80~180キロで作動。ウインカーを出すと10秒以内に、前方、側方、後方の隣車線に障害がないかを確認し、周辺車両の車速も把握しつつ安全であれば車線を変更してくれるのです。

 このように安全に関しても、Aクラスは相当にリッチなモデルとなっており、ライバルを大きく引き離しています。

■プラットフォームからエンジンまで新しい新型「Aクラス」

 ここで新型「Aクラス」の気になるプロフィールを紹介しておきましょう。

 新型Aクラスは新たな「MFA2」というアーキテクチャを用いて作られた全く新しいモデルとなります。ボディの3サイズは全長4419mm×全幅1796mm×全高1440mm、ホイールベースは2730mm(欧州仕様数値)と、以前より一回り大きくなりました。

メルセデス・ベンツ 新型「Aクラス」(欧州仕様)

 搭載エンジンは全部で3種類(欧州仕様)。ガソリンエンジンでは、A200というモデルに搭載されるのが、ルノーと共同開発した1.4リッター(実際は1332cc)の直列4気筒直噴ターボエンジンです。新開発のこのエンジンは、メルセデス・ベンツの4気筒としては初めて気筒休止機構を備え、最高出力が163ps、最大トルクが250Nmを発生します。

 そして先に記した「A250」に搭載されるのが、従来のエンジンをアップデートした2リッターの直列4気筒直噴ターボで、最高出力が224ps、最大トルクが350Nmを発生します。

 両タイプともにトランスミッションは7速のツインクラッチである7G-DCTが組み合わせられます。1.4リッターに組み合わせられる7G-DCTは新開発の小型軽量版となります。さらに本国ドイツにはディーゼルエンジンも用意されており、これは1.5リッターのディーゼルターボで116ps/260Nmを発生。これにも7G-DCTに組み合わせられます。

 サスペンションはフロントがマクファーソンストラット。リアは2種類が用意されており、16~17インチのタイヤ&アルミを装着するモデルはトーションビーム、18~19インチを装着するモデルはマルチリンクとなります。さらにオプションとして、可変ダンピングシステムも用意されています。

 さて、この新型「Aクラス」最大のトピックは、こうした走りや安全装備の面ではなく、ライバルはもちろん、同社の最上級モデルの「Sクラス」でも備えていない、全く新しいマルチメディアシステム、「MBUX」(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)という新世代のユーザーインターフェースを真っ先に取り入れたことです。

 実際にインテリアに目を移すと、このMBUXの採用によって新たな表示系をもたらす高精細のワイドスクリーンコックピットが誕生していることにまず、強烈なインパクトを感じます。

 なぜならそこには、これまでのようなフードがあってその下にメーターがあるのではなく、ドライバーの目の前に1枚のパネルがドーンと置かれるだけだからです。10.25インチのディスプレイが2つ並べられる構成となっているこの表示画面ですが、これらはハンドルに搭載されたタッチコントロールボタンや、センターコンソールにおかれたタッチパッド、または画面に直接触れて動かすタッチスクリーンのいずれでも操作することが可能です。サクサクと動くその様はまるで、スマホを操作している感覚そのもので直感的に使えるわけです。

■Sクラスよりも先に先進機能搭載「インテリジェント ボイス コントロール」

 このMBUXには、インテリジェント ボイス コントロールと呼ばれるもの新機能があります。これは自然言語理解の力を備えておりドライバーが、「Hey Mercedes」と呼びかけると、即座に「How Can I help You?」と返事をしてます。

メルセデス・ベンツ 新型「Aクラス」(欧州仕様)の運転席まわり

 これに対して乗員が何か要求を言葉にすることで、反応を示してくれます。どういうものかを最もイメージしやすいのは、アップル社のiPhoneにおけるSiriや、スマートスピーカーなどのグーグルホームやアマゾンエコーなどでしょう。これらと同じように、曖昧な会話でもAI(人工知能)が理解をしてくれて、インフォテインメントや車両操作関連の機能を動かすことができます。

 実際に使ってみると、従来はコントローラーでメニューを出して、深い階層までいって車両の機能を設定していたような煩わしさから解放されてとても便利です。

 他にもたくさん機能はあるのですが、このようにAクラスは、どのクルマも使っていなかった、自然な対話型のユーザーインターフェイスを取り入れた上に、人工知能による学習や予測機能を盛り込んだ最初のクルマとなったわけです。

 ここから感じるのは、今回このシステムをメルセデス・ベンツがAクラスという、同社の最もコンパクトかつリーズナブル(であろう)なモデルに最初に搭載した意義でしょう。

 こうした新たな装備は、開発費や新たな機構が必要とされるため、フラッグシップモデルに搭載されるのが通常でした。しかし今回、メルセデス・ベンツはそうした新たな装備をAクラスに搭載したことで、これまでの常識を覆しました。

 もちろんこのMBUXは、まだまだ進化の余地はありますし、音声の認識等もたまにしくじることはあります。そうした細かなことはさておき、まずは実際に搭載してみるという、その姿勢が自動車のパイオニアとしてのメルセデス・ベンツらしさを感じさせる部分でもあります。

 このMBUXが今後さらに進化して多くの人に受け入れられると、自動車の価値観は大きく変化するとも考えられるわけです。ならば「新型Aクラスは完璧なのか?」と誰もが思うでしょう。しかしながら、気がかりな部分がひとつあります。

 それは筆者が最初に乗った「A250のエディション1」などは、Aクラスという従来モデルとは思えない、装備の豊富さと充実度からすると500万円は遥かに超えて600万円台でもおかしくない価格になるのでは? と感じた部分です。

 これだけ様々なものを覆す存在ゆえに、それなりにお金をかけ開発されていることで、それに合わせて車両価格がどうなるのか? 気になるところです。

 果たして価格の面も含めて日本仕様がどうなるのか? 新型Aクラスがヒット作になるのか、ここがひとつのポイントとなりそうです。新型Aクラスの日本上陸は、2018年の終わり頃と噂されています。

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