トヨタ 9代目クラウンで「マジェスタ」登場 デザイン不評から生まれた?
くるまのニュース / 2018年7月20日 11時50分
9代目「クラウン」は、不人気車のレッテルを貼られてしまうことになりますが、多くの革新もあったモデルです。
■保守的なデザインが不評を買ってしまった9代目「クラウン」
9代目「クラウン」が登場したのは1991年10月のことでした。狂乱のバブル時代は、崩壊がはじまりつつあり、景気後退への漠然な不安が現実のものになりつつある、そんな時代です。当時、「クラウン」の販売の中核を担っていたのは、4ドアハードトップというスタイルのモデルです。
4ドアでありながら、スタイリッシュかつスポーティなデザインに仕上げられたモデルです。フォーマルなスタイリングの4ドアセダンは法人車両への販売が中心でした。
8代目「クラウン」から9代目「クラウン」へのモデルチェンジは、歴代「クラウン」が経たモデルチェンジのようにいっせいにすべてのモデルが刷新されたわけではなく、4ドアハードトップのみの改良となります。
『すべては、クラウン。』のキャッチコピーのもとに登場した9代目「クラウン」ですが、結果として販売は不振。先代、先々代のクラウンが人気を博していたことも重なり、不人気車のレッテルを貼られてしまうことになります。
デザインの評価が芳しくなく、特に尻下がりにデザインされたリアエンドが不評でした。全体的に保守的なデザインに終始している9代目「クラウン」ですが、やはり憧れの高級車としてはそれなりに押し出し感も必要だったということなのかもしれません。
9代目「クラウン」は、早い段階でマイナーチェンジをおこない、フロントグリル周りのデザインや特に不評だったリアエンドのデザインが改良されました。
■デザインは不評でも、中身は革新性のかたまり
さまざまな不運も重なり、評価は高くなかった9代目「クラウン」ですが、歴代のクラウン同様に中身はしっかりと最新の機構が備わっていました。後述する最上級グレードの「クラウン マジェスタ」では、クラウン史上初となるモノコックボディ(車台とボディを一体成型する設計)を採用しています。
クラウン初のモノコックボディを採用
モノコックボディの採用により、空力に優れた流線型のデザインを手に入れただけでなく、広い室内空間や高い安全性を得ることができるようになりました。ちなみに、現在のクルマは、モノコックボディを採用しているものがほとんどです。
また、サスペンションにも高性能車によく用いられるダブルウィッシュボーン式を採用。そのほか、雪道などに強いフルタイム4WDも設定されるなど、クルマとしての使いやすさは十分に高められています。
そのほか、トヨタ初となる5速ATの採用、GPSカーナビゲーションシステムの搭載、エアバッグの標準装備(クラウン マジェスタ)など、確実に進歩していることがわかります。
■クラウン マジェスタの登場
9代目「クラウン」で、もうひとつ特筆すべき点は、最上級グレードとして「クラウン マジェスタ」が登場したことです。
同時代に販売されていた「セルシオ」と同様のV型8気筒エンジンを搭載した「クラウン マジェスタ」は、上述の通りモノコックボディを採用し、なおかつ最先端の安全装備、快適装備を備えた、名実ともにトヨタのフラッグシップと呼べるモデルでした。
長らくトヨタの、そして国産高級車の代表格であった「クラウン」ですが、セルシオの登場によりいささか中途半端なポジションとなっていました。しかし、「クラウン マジェスタ」の登場によって、フラッグシップモデルの地位を取り戻したのです。
クラウンにおける「マジェスタ」の名は、その後27年間にわたって最上級グレードに用いられることになります。
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