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韓国大統領妻は犬肉反対の急先鋒「禁止は約束」 消えゆく補身湯、「時代の流れ」と関連業者

共同通信 / 2024年3月2日 8時7分

犬肉を使ったスープ料理「補身湯」=2024年1月、韓国・城南(共同)

 韓国で古くから続いてきた犬肉食の文化が姿を消そうとしている。長く欧米諸国から批判を浴び、近年は国内でもペットとして飼う人が増え、動物愛護の観点から食用への反対論が拡大。国会は1月、食用目的の飼育や流通を禁じる特別法を可決し、猶予期間を経て2027年に完全施行される見通し。異論は少なく、関連業者の一人は「時代の流れだ」とつぶやいた。(共同通信)

 「撮影禁止」のシールが貼られた陳列ケースに並ぶ肉の塊が、冬の日差しを浴びて赤く光る。ソウル郊外、京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市の牡丹(モラン)市場。高齢の女性客に量り売りした食肉店の女性は「今のは黒ヤギだよ。犬肉はこっち」と品名のない肉を指さし、1キログラム2万5千ウォン(約2800円)だと説明した。

 韓国では滋養食のスープ料理「補身湯(ポシンタン)」などとして犬肉を食べる習慣がある。2022年の政府調べでは、食用の犬は約1100カ所で計約50万匹が飼育され、食肉処理場は約30カ所、関連の食堂は約1600店。約60年の歴史を持つ牡丹市場は南東部の大邱(テグ)、南部の釜山(プサン)の市場と「三大犬肉市場」を成す。

 犬肉食は1988年のソウル五輪、2002年のサッカーワールドカップ(W杯)日韓大会など、世界の表舞台に立つたびに非難された。犬を家族と捉える人も増え、金融機関系の研究所によると、2022年末時点で全世帯の約4分の1の522万世帯がペットを飼い、その約7割が犬を飼っていた。

 食用の需要は低下し、世論調査会社「韓国ギャラップ」の2022年の調査では「この1年間に犬肉を食べた」と答えた人は8%。2015年の27%から大幅に減った。

 尹錫悦(ユンソンニョル)大統領夫妻も犬を飼い、特に妻の金建希(キムゴンヒ)氏は食用反対の急先鋒(せんぽう)。昨年、外遊先のオランダで「食用禁止は大統領の約束だ」と強調した。

 流通過程での動物虐待も指摘される。一部食肉処理場の実態を調べた市民団体「動物解放の波」は、動物保護法が禁じた「残忍な方法」「同じ種の動物の眼前」で命を奪う行為が横行していると批判。李知☆(女ヘンに研の旧字体のツクリ)(イジヨン)会長は「食べ物でなく一緒に暮らす対象と考える人が増えた今、文化として守る価値はない」と断じた。

 「手足を縛られ、もうできることはない」。牡丹市場で食肉店と食堂を営む金容北(キムヨンブク)さん(67)はうつむく。市場前では動物愛護団体の抗議デモが相次ぎ、肩身は狭い。最近は大半の店が黒ヤギ肉の店として営業し、犬肉はひっそりと販売。金さんの食堂でも、名物だった補身湯を注文するのは10人に1人ほどという。

 新法は廃業や転業を支援するとしているが、具体策は未定。金さんは「国がやめろと言うなら従う。ただ生計を奪われることへの補償がどうなるのか不安だ」と訴えた。

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