「私の居場所」つくるお守りのあめ いじめ経験、札幌の女子高生考案
共同通信 / 2024年5月13日 8時3分
札幌市の高校3年真所柚衣(まどころ・ゆい)さん(17)が「生きづらさを抱える人の心を少しでも軽くしたい」と、フェルト製のカラフルな小袋にあめ玉を詰めた「お守り飴(あめ)」を考案した。過去にいじめに遭い、つらい時間を大好きなあめをなめて乗り越えた実体験から、「どこへでも持ち運んで自分の安心できる“居場所”をつくってほしい」と願う。(共同通信=尾崎純)
「私は人一倍生きづらい性格」。中高で友人から無視され、面と向かって悪口を言われるなどのいじめを受け、自己肯定感を失った。学校でも家でも心が休まらず「居場所がない」と感じる中、イチゴ味の棒キャンディーをなめている時は不思議と心が落ち着いた。
昨年5月、「自分のように苦しむ人のために行動したい」と、高校生主体で地域の課題解決に取り組む学外の活動に参加した。自殺死亡率が上昇傾向で、死にたいと願う「希死念慮」を抱える人が周囲にも増えている社会の現状に目を向け、つらい気持ちを緩和するあめ玉の力を広めようと考えた。
「持っていて安心できる物を」と愛着の湧くデザインにこだわった。手書きのイラストを貼った緑やピンクの袋に市販のあめ玉を詰め、ひもで結んだお守りのような小袋を5種類作った。あめに込めた思いを伝える絵本も手作りした。
昨夏、50個超を地域のイベントで配布するなどした。「周りの人にも伝える」といった好意的な反応に手応えを感じた。今後は祖母を介護する経験から「認知症を減らす活動もしたい」と意気込む。
今年3月、北海道の高校生が大学教員らに日頃の学習成果を発表するフォーラムで「北海道医療大学賞」を受賞。北海道医療大の冨家直明(とみいえ・ただあき)教授は「いじめ当事者が自ら話す例は珍しい。傷ついた経験を社会貢献につなげる大きなエネルギーに感銘を受けた」と絶賛した。
今年は受験生。大学では心理学を学び、カウンセラーになるのが夢だ。「一時期『死にたい』と思った私でも、生きていれば楽しいことや気付きもあると分かった。死を選ぶ人を減らすため経験を生かしたい」と力を込めた。
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