異国で不安な仲間へ、ベトナム喫茶へどうぞ 13席の小さな店を新潟で開いた“国民お兄さん”
共同通信 / 2024年5月24日 9時3分
全13席のこぢんまりとした新潟市のベトナム喫茶「カフェフィン」。運営する同国出身のレ・ホン・フーさん(33)は、かつて日本で学んでいた頃、悩みを打ち明けられる場所がなく思い悩んだ。異国で不安を抱える人の相談窓口になりたい―。そう願いを込めて構えた小さな店は、多くの母国の仲間を支えている。(共同通信=渡辺敦)
ベトナム中部ダナン出身。同国の大学卒業後の2016年に「自立して成長したい」と来日し、東京の語学学校に通った。経営者の父の影響もあり、同じ道を志すように。猛勉強して経営が学べる新潟の事業創造大学院大学に進み、経営学修士(MBA)を取得した。
コーヒー好きが高じて、2020年にベトナムコーヒーの卸売りなどをする「JV COFFEE」を起業。人の温かさや自然の豊かさに魅せられ、新潟を拠点に選んだ。両国の英語表記の頭文字をつなげた社名には「架け橋になれれば」との思いを込めた。
2021年に開業したカフェには、過去の経験が反映されている。来日当初、コミュニケーションを満足に取れず寂しさを感じた。アルバイトはできず、寮に帰ると1人。授業後、帰り道の公園のベンチでただ時間が過ぎるのを待ったこともあった。「困り事を相談できる場所があれば」
新型コロナウイルス禍の中の船出だったが「こういう時こそ困る人が増える」と、同じベトナム人の生活や仕事の悩みに耳を傾け、支援した。店内には、ベトナム大使館から贈られた感謝状が飾られている。
フーさんは「『国民お兄さん』と呼ばれてるんです」と恥ずかしそうにほほ笑んだ。
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