岩手の漂流ポスト、寺に移設し継続 亡くなった人へ手紙、初代管理人バトン渡す
共同通信 / 2024年5月26日 9時3分
「なぜ急にいなくなったの。逢いたいです」「見守っていて」―。災害や事故、病気で亡くなった人に宛てた手紙が全国から届く「漂流ポスト」。岩手県陸前高田市でカフェを営んでいた赤川勇治さん(74)が10年前に設置し、届いた手紙は千通を超えた。4月、赤川さんはポストの管理人を引退。近くにある慈恩寺に移設し、引き続き手紙を受け付ける。(共同通信=待山祥平)
田舎暮らしに憧れ、27歳で横浜市から家族と岩手県内陸部に移住。経営していた会社を手放し、自宅から70キロ以上離れた陸前高田市の広田半島にカフェを構えた。ベンチや椅子を自前で作り、店内は連日にぎわった。
しかし2011年の東日本大震災で状況は一変。多くの被災者を目の当たりにして「自分を受け入れてくれた恩を少しでも返したい」と考えた。
手紙なら亡き人への思いを吐き出せるのではと2014年、カフェにポストを設置。届くことのない手紙が流れ着く場所、という思いを込めて、漂流ポストと名付けた。
活動がメディアで紹介されるなどして広まり、震災以外で大切な存在を亡くした人からも次々と手紙が届いた。わが子を失った女性がポストをなでながら「ようやく来られたよ」とつぶやく姿を見て、ポストの存在意義をかみしめた。
2019年、認知症が進む実母の介護のため、カフェを閉店した。好き勝手に生き、親不孝だった自分に気付いた。「母も守れないのにポストを続けていいのか」。廃止も考えるほど思い悩んだ。
そんな時、読経や焼香などで手紙を「供養」する法要を毎年営んでくれていた慈恩寺の前住職古山敬光さん(75)が申し出た。「私でよければ管理人を引き受けます。1人で抱え込まないでください」。その一言で心が軽くなった。
ポストは10年目の今年4月、寺の境内に移設された。大切な引き継ぎを終えた2人の表情は、少し晴れやかに。古山さんが「悩みや相談があれば、手紙だけでなく直接聞くこともできます」と意気込みを語ると、赤川さんは「なら俺も通おうかな」と応じ、笑みがこぼれた。
手紙の新しい宛先は、〒029―2208 岩手県陸前高田市広田町泊53 慈恩寺「漂流ポスト」。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【jinjer×NPO法人SET】NPOの労務環境の改善に向けて「ジンジャー」を活用した実証事業を開始
PR TIMES / 2024年6月14日 18時15分
-
広島→岡山→奈良→東京 子犬きょうだいの巣立ちの旅 ゴールは岩手・陸前高田の優しい飼い主さん 大震災が紡いだご縁
まいどなニュース / 2024年6月10日 17時30分
-
コミュニティガーデン講座「花の植替えとハーブクラフト作り」(岩手県立高田松原津波復興祈念公園)
PR TIMES / 2024年6月5日 13時45分
-
日本フレスコボール協会(JFBA)、8月24日-25日に『フレスコボールリクゼンタカタカップ2024』を岩手県陸前高田市で三年連続開催。MCには、二宮真佑子氏が就任。TRILLラケットセールも開催。
PR TIMES / 2024年5月27日 14時15分
-
「陸前高田ワタミオーガニックランド」陸前高田市にて 三陸花火大会 2024開催!キャンプサイトは大好評につき完売!
PR TIMES / 2024年5月23日 17時15分
ランキング
-
1「実質強制だ」 健康保険証廃止まで半年、SNSに投稿相次ぐ
毎日新聞 / 2024年6月16日 21時2分
-
250万円台の激安ベンツが「実はお買い得といえる」ワケ。“壊れそうなイメージ”の実体とは
日刊SPA! / 2024年6月16日 15時53分
-
3麻生派議員、首相責任論に言及=裏金対応「理解得られず」
時事通信 / 2024年6月16日 20時40分
-
491歳女性ひき逃げ疑いで送迎業の男(72)を逮捕 「人間だとは思わなかった」と否認 兵庫・姫路市
ABCニュース / 2024年6月17日 0時2分
-
5維新の会の軽ワゴン車が横転、配電設備に衝突…仙台市で300戸が一時停電
読売新聞 / 2024年6月17日 7時53分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)