コンビニ目じゃない、その名は「マドゥラ」 インドネシア、勤勉民族が営む無休店
共同通信 / 2024年6月16日 7時5分
インドネシアの都市で年中無休、24時間営業の個人商店「ワルン・マドゥラ」が近年増えている。インドネシア語で「マドゥラの売店」を意味し、経営するのは勤勉で知られるマドゥラ民族。コンビニ大手も店舗数を増やし競争が激化する中、夜間もにぎわいは消えない。(共同通信=山崎唯)
午前1時過ぎ、首都ジャカルタ北部の庶民的な住宅地。1回分の洗剤や調味料の小袋が天井からつり下がり、所狭しと日用品が並ぶワルン・マドゥラを客が次々と訪れた。「ティッシュある? タバコも」。すぐ隣で営業中のコンビニより「安くて早い」と評判で、薬も1錠から購入できる。
店を経営するマドゥラ民族のシティ・アイシャさん(47)によると、過去3年で4店舗を新設。夜間の売り上げは日中の倍以上といい「コンビニ店員もうちに買いに来る」と笑う。1号店は従業員2人を雇い、月の売り上げは約6千万ルピア(約58万円)で上々だ。
地元メディアによると、ワルン・マドゥラは1990年代から続く業態だが、需要増から過去5年で店舗数が急増。人口増加が続くインドネシアでは、大手コンビニも2024年、千店舗新設を見込み競争が激化している。
マドゥラ民族は、ジャワ島東ジャワ州沖で乾燥した土地が広がるマドゥラ島が郷里だ。アイシャさんの夫イマン・ガザリさん(54)は、島はかんがい設備が不十分で、雨頼みの農業では食いはぐれると説明。「だから、どんな仕事でもあくせくやる。それが俺たちだ。コンビニなんて目じゃない」と胸を張る。
ワルン・マドゥラはジャカルタ中心部にある高級モールの足元にも。夫婦2人で店を切り盛りする元米農家のムハンマド・アントニウスさん(41)は、その日のうちならつけ払いも受け入れ、周辺で屋台を営む人々のよりどころとなっている。「そりゃ24時間営業はつらいよ。でも金になるんだ」と笑みを見せた。
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