腹部大動脈瘤の試験開始 栄養成分で縮小期待、阪大
共同通信 / 2024年6月17日 6時55分
ラットの血管(点線で囲まれた部分)にできた大動脈瘤がトリカプリンの投与で縮小したことを示す画像。(左から)大動脈瘤を作る手術をし、7日目にトリカプリンの投与を開始、14日目のこぶ状の大動脈瘤が、21日目には縮小した(近畿大提供)
突然破裂すると死亡する恐れがあるが手術以外の治療法がない「腹部大動脈瘤」について、母乳にも含まれる栄養成分の一種トリカプリンを投与して小さくする世界初の臨床試験を始めたと、大阪大のチームが17日までに発表した。投与でラットの大動脈瘤が小さくなることを確認、チームの樺敬人特任研究員(循環器内科)は「新しい治療法の開発に向けて大きな一歩」と話した。
腹部大動脈瘤は通常2センチほどの血管がこぶ状に膨れ上がる病気で、国立循環器病研究センターによると主な原因は動脈硬化。大きくなり破裂すると死に至ることもあるが、破裂の確率が格段に上がる5センチになるまで手術は行われず、経過観察するしかない。
2023年に近畿大の財満信宏教授のチームが、手術で大動脈瘤ができやすくしたラットにトリカプリンを投与したところ、こぶの縮小を確認したと報告。阪大のチームはこの結果を基に今回の臨床試験を計画した。
チームは比較的小さなこぶがある50~80代の患者10人にトリカプリンのカプセルを投与して1年間、安全性や縮小があるかどうかを観察する。
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