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祖国を後にする若者「兵隊にはなりたくない」 在日ミャンマー人、支援に向け議会に陳情

共同通信 / 2024年7月13日 8時4分

陳情書を手に、軍政への抵抗を意味する「3本指」を掲げるナンミャケーカインさん(手前)ら=2024年5月、横浜市(画像の一部を加工しています)

 国軍と民主派などの戦闘が続くミャンマー。軍事政権による徴兵制実施を受けて国外に脱出する若者が続出する中、在日ミャンマー人の有志らが支援に動き始めた。日本各地の地方議会に対し、脱出者を積極的に受け入れるよう日本政府に働きかけることなどを求める陳情書を提出。祖国を逃れる人たちを側面から支えようと奔走する。(共同通信=上松亮介)

 「兵隊になれば、友人と戦わなければならない」。ミャンマー人女性のシュエさん(24)=仮名=は2024年4月に来日した。軍政への抵抗運動に参加してきたが、2月に発表された徴兵制実施を機に出国を決意。日本では大学進学を目指して語学学校に通うものの、将来への不安は付きまとう。

 ミャンマーでは徴兵制実施の発表後、多数の若者が国外に脱出するなどして徴兵を逃れた。有志らはこうした事態を受け、地方議会への陳情を発案。交流サイト(SNS)で行動を呼びかけると、各地に暮らすミャンマー人の会社員や留学生、技能実習生らから参加の声が上がった。

 陳情書提出は地方議会の会期に合わせ、2024年3月から始めた。共同通信の取材によると6月10日までに茨城県つくば市、千葉県松戸市、東京都江東区、練馬区、横浜市、愛知県岡崎市、同県西尾市、京都市、大阪市、神戸市、兵庫県西宮市、奈良市などへ提出を済ませた。

 5月中旬、横浜市議会に陳情書を提出した在日ミャンマー人で京都精華大特任准教授のナンミャケーカインさん(52)は、ミャンマー情勢への日本政府の対応は不十分と指摘。「自分たちが暮らす地域の議会に声を届け、中央を動かしたい」

 陳情では、徴兵制を「民主主義を希求する国民同士に殺し合いをさせる卑劣な制度」と非難。多くの若者が国外避難を始めているとし、地方議会から日本政府に向け、避難民を積極的に受け入れるなどの対応を促すことを求めている。

 陳情の他、名古屋市議会には同様の内容を3月、請願書として提出した。沖縄県糸満市議会では賛同する市議からの議案提出を受け、避難民保護を政府に求める意見書が同月可決された。

 陳情を呼びかけた都内在住のキンゼッヤーミンさん(43)は2008年に留学生として来日した。卒業後は医療研究者として働いてきたが、2021年のクーデターを機に軍政への抵抗運動に関わるようになった。

 民主派などによる国軍への攻撃が激化する一方、外出や社会活動を控える「沈黙のスト」などを引き合いに「武器を持たず抵抗する人もいる。徴兵制は彼らをも残酷なシステムに組み入れてしまう」と懸念した。

 【ミャンマー情勢】

 2021年2月のクーデターで実権を握った軍事政権が市民弾圧を続け、民主派や少数民族武装勢力と衝突。2023年10月には北東部で少数民族武装勢力が一斉蜂起した。国軍側の犠牲は増え、投降も相次いでいる。軍政は2024年2月、2010年に導入を決定したものの実施を見送ってきた徴兵制の運用開始を決定。戦力確保を急いでいるとみられる。

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