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「海鳥の楽園」北海道天売島、知って守って 対岸の展示施設、環境問題提起も

共同通信 / 2024年7月29日 8時4分

実際の体重を体感できるウミウのぬいぐるみを手にする石郷岡卓哉さん=5月、北海道羽幌町の北海道海鳥センター

 北海道北部の日本海側に浮かぶ天売島は、毎年3~8月に8種数十万羽が集まる世界有数の海鳥の繁殖地だ。貴重な環境を守ろうと、対岸の羽幌港近くにある「北海道海鳥センター」は来場者に関心を持ってもらうための工夫を凝らす。遊び心を交えた展示に加え、環境破壊の深刻さも問題提起。担当する羽幌町町民課の石郷岡卓哉さん(50)は「鳥が生きる環境と、人の生活との結びつきに目を向けてほしい」と話す。(共同通信=羽場育歩)

 島は1周約12キロ。鳴き声からオロロン鳥とも呼ばれる絶滅危惧種ウミガラスの、国内では唯一の繁殖地だ。ウトウやウミネコの姿も多い。6月中旬の夕方、海から巣に戻る鳥たちの姿に、観光客から感嘆の声が上がった。東京から訪れた60代の男性は「ここだと自然のままの姿を見ることができる」と満足げだった。

 センターは体験型の展示にこだわる。「わたしはウミウ。体重は3キログラムあるよ。飛ぶのはちょっとにがてなの」。同じ重さのぬいぐるみにはかわいらしい説明が添えられる。海鳥が営巣する島西部の絶壁のジオラマが設置されているほか、町で聞くことができる鳥の鳴き声を紹介するコーナーは、季節ごとに内容を入れ替えている。

 石郷岡さんは横浜市出身。自然保護団体での勤務を経て職員となった。幼少期に教育施設「横浜自然観察の森」に通い、常駐する日本野鳥の会のレンジャーに「生き物は捕るものではなく見るもの」と、命の大切さを教わったのが原点だ。

 子どもが喜びそうな展示に交じり、一角には海岸で回収された漁具や人形が並ぶ。鳥が漁具で傷つき、保護されることもある。海に捨てられたごみがマイクロプラスチックとなり、有害物質を吸着すれば、やがて食物連鎖で人間の体内に取り込まれる。「海鳥だけの問題ではない」と石郷岡さん。海鳥の楽園を守るためにも、興味の入り口となる施設を目指す。

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