サイズ小さい「未利用魚」、無駄にしない 函館の企業が商品化、能登地震受け防災食も
共同通信 / 2024年10月9日 7時1分
水揚げされてもサイズが小さいなどの理由で消費者に届けられない「未利用魚」を活用しようと、北海道函館市の企業が商品開発に力を入れている。4月には能登半島地震をきっかけに防災用の商品を発売。企画から販売まで手がける合同会社EGAOのプロデューサー川崎良平さん(43)は「漁師の助けやフードロス解決につながる」と意義を語る。(共同通信=金子茉莉佳)
水産庁によると、未利用魚はサイズがふぞろいだったり、漁獲量が少なく販売に必要な数がまとまらなかったりする魚介類。廃棄されずとも、買いたたかれることもある。
川崎さんは、地元漁師の交流サイト(SNS)への書き込みで問題を知った。近年は海洋環境の変化でイカなどの目当ての魚種が取れず、逆に増えたサバやタナゴ、季節外れのニシンなどは市場でまともに取引されないと、苦境を訴える内容だった。
漁では命を落とす危険もある。状況を変えたいと、川崎さんは昨年6月、漁師や地元企業と「未利用魚介プロジェクト」を発足。同年11月、川崎さんの会社が開発した昆布だしの調味料で味付けした焼き魚や煮付けのレトルトを発売した。
活用する未利用魚の種類は多岐にわたる。そこで商品名はプロジェクトの名称をそのまま使った。「消費者に社会問題として認識してもらう意図もあった」という。
今年1月の能登地震をきっかけに、同年4月に発売したレトルト雑炊は、災害用の備えとなるよう、栄養価が高く、水分と塩分も摂取できるよう工夫した。常温で1年間保存でき、湯せんも不要だ。
企画開始から1年で、サバでは約900キロ消費につながった。川崎さんは「世の中の変化に前向きに対応しつつ、誰かの困り事を解決する」と胸を張る。「問題は全国各地で共通する。土地によって設備や魚種は異なるが、このノウハウが広まればいい」と笑顔で話した。
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