旧陸軍「幻の原爆計画」、関連資料を展示 ウラン採掘した福島・石川町の歴史資料館
共同通信 / 2024年10月13日 9時4分
福島県石川町は日本有数の鉱物の産地だ。核兵器の材料となるウランが含まれる石も採っていたため、戦時中は、幻に終わった陸軍の原爆開発計画「ニ号研究」の採掘場にされた。今春リニューアルした町立歴史民俗資料館では「戦争に利用された歴史を見てもらいたい」と、関連資料を多く展示している。(共同通信=湯山由佳)
太平洋戦争中の1943年、陸軍の要請で、理化学研究所(理研)の仁科芳雄博士らによるニ号研究が始まった。しかし、思うようにウランを抽出できないまま終戦となって計画は頓挫。町には、選鉱で使う水をくみ上げたポンプ小屋の一部が今も残る。
資料館は1974年に開館し、老朽化などから場所を移転して今年4月に再開した。展示の中心は、ガラスの原料である石英や上薬になる長石といった約200点の鉱物や岩石。町の歴史が書かれたパネルなどもある。
角田学館長(52)はリニューアルの際、ニ号研究関連の展示を充実させた。きっかけの一つが改装中に始まったウクライナ危機だ。ロシアによる核兵器使用の威嚇もあったため「ニ号研究は町の暗い歴史だが、積極的に伝えなければならないとの使命感が芽生えた」と話す。
関連コーナーでは、ウランを含むサマルスキー石など理研が用いた「希元素鉱物」を展示。学徒動員により、中学生が鉱石採掘に従事した事実を伝える資料も置いている。
鉱物の平和的な利用に関する展示にも力を入れた。ニ号研究に関わって一時町へ移住した理研の飯盛里安博士は、戦後に連合国から放射化学の研究を禁じられ、石英などを用いた窯業に取り組んだ。その過程で色鮮やかな人造宝石の合成に成功し、商品化して米国などへ輸出した。リニューアルに合わせ、博士の親族から寄贈された人造宝石を公開している。
原爆計画の一翼を担わされた町。角田館長は「もし日本が先に他国へ原爆を落としていたら、世界はどうなったと思いますか」と問いかける。「表舞台に出ない歴史の上に今の平和があることを知ってほしい」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
モノに残された辺境の営み 『藍を継ぐ海』 <聞きたい。>伊与原新さん(作家)
産経ニュース / 2024年10月6日 10時20分
-
愛知大学が11月2~3日に熊本市で展示会『「東亜同文書院」と「熊本」』を開催 -- 3日には講演会も
Digital PR Platform / 2024年9月26日 8時5分
-
月裏側研究の歴史的空白を埋める「嫦娥6号」が持ち帰る月土壌の秘密を解明―中国
Record China / 2024年9月19日 0時0分
-
地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない」との研究が話題に...その仕組みとは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月16日 8時45分
-
原爆資料館 「黒い雨」を浴びた金屏風など134点を新展示 広島
広島テレビ ニュース / 2024年9月13日 19時0分
ランキング
-
1明かされた覚醒剤の接点と55歳差婚の実態 紀州のドンファン公判18人が証言
産経ニュース / 2024年10月12日 19時9分
-
2首相「変節当たらず」 安保持論、党で協議開始
共同通信 / 2024年10月12日 22時53分
-
3立ち入り禁止の防波堤で釣りをしていたベトナム人4人、波にさらわれる…2人が行方不明
読売新聞 / 2024年10月13日 7時3分
-
4首相「裏金」の呼び方に不満 推薦決定、公明を野党追及
共同通信 / 2024年10月12日 19時17分
-
5石破茂首相就任で初めて「主流派」に 大臣記者会見のオープン化を働きかけたフリーランス記者が見た「閉じられた首相会見」
NEWSポストセブン / 2024年10月13日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください