稲作4割減、護岸崩壊で水田が沼に 能登半島地震、国の動き鈍く遠い復興
共同通信 / 2024年11月15日 8時3分
能登半島地震で奥能登地方のコメ(水稲)作付面積は4割減った。発生から10カ月余りたっても復旧は進まない。石川県穴水町の甲(かぶと)地区では護岸が崩れ、宅地と田んぼに海水が浸入した。農家の泊一夫(とまり・かずお)さん(76)は町を通じて再整備を求めたが、国の動きは鈍く着工のめどは立っていない。「目の前の課題を解決せずして復興はない」と話している。(共同通信=浜谷栄彦)
石川県によると、輪島市、珠洲市、能登町、穴水町で構成する奥能登地方で昨年作付けされた面積は2800ヘクタール。土砂崩れや津波によって震災後は1800ヘクタールに縮小した。さらに今年9月下旬の豪雨で冠水した950ヘクタールのうち半分近くに土砂、がれきが流入。苦境続きで再開を断念する農家が後を絶たない。
泊さんは、入り江に面した甲地区にある築100年の家に住んでいたが、全壊と判定されたため7月に解体。穴水町主催の会合で護岸工事を繰り返し要請してきたが、国から明確な回答はなかった。「海水が容赦なく入ってくる。自宅を解体し更地にしたら地面がぐちゃぐちゃだった」
約100メートル離れた仮設住宅で妻ひろ子さん(75)と生活する。自宅前に所有する水田は津波で泥が堆積した。現在も護岸の崩壊部分から海水が流れ込み一帯は沼のようになっている。
近隣住民もこのまま住み続けられるのか心配しているという。「高齢者が大半を占める集落の復旧に税金を使うのは無駄だと思っているのではないか」。国の姿勢に疑問を感じつつも農業をやめるつもりはない。
東京で暮らす孫が5月に帰省し、泊さんが別の場所に持つ水田で田植えを体験した。「家族が正月や盆に帰ってほっとできる場所を残したい。能登にはそれだけの魅力と価値がある」。里山里海の幸に恵まれた故郷を次世代に引き渡すのが役目と心得ている。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
地震・豪雨からの復旧復興に支援を 石川県町長会 馳知事に要望
テレ金NEWS NNN / 2024年11月11日 16時8分
-
輪島の仮設フードコート、住民らの憩いの場に 被災店舗の復興後押し
毎日新聞 / 2024年11月10日 12時30分
-
2024年能登半島地震・豪雨緊急復興支援「能登子どもサポート給付金」申請受付中
PR TIMES / 2024年11月8日 15時15分
-
「能登ヨバレ」でつながり作り「故郷の力に」 能登復興へ東京で働く出身者らグループ結成
産経ニュース / 2024年11月1日 10時33分
-
「地震と豪雨」能登半島ダブルパンチの深刻さ 現地調査した専門家が検証「今後警戒すべき点」
東洋経済オンライン / 2024年10月17日 12時30分
ランキング
-
1猛暑でスーツ需要低迷、紳士服のコナカが30億円赤字 売り上げ大幅減収 9月中間決算
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年11月14日 22時0分
-
2【独自】住民税非課税世帯に3万円検討 子1人2万円上乗せも、物価高で
共同通信 / 2024年11月13日 21時42分
-
3MUFG、auカブコム証券の完全子会社化を正式発表…新社名は「三菱UFJeスマート証券」
読売新聞 / 2024年11月14日 20時10分
-
4“電動キックボード問題”が一歩前進? ソニーのブースは大人気
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月15日 7時15分
-
5NY株反落、207ドル安=米FRB議長講演受け売り
時事通信 / 2024年11月15日 7時29分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください