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劣悪環境で育った保護犬、高校生が愛情注ぐ 岐阜県立高に部活設立4年、譲渡活動

共同通信 / 2024年11月24日 8時2分

大垣養老高校の「犬クラブ」部長の加納心葉さん(右)と、ブラッシングされる保護犬のトイプードルの雌「新絆」=2024年10月、岐阜県養老町

 岐阜県養老町の県立大垣養老高校に、悪質な繁殖業者などに育てられた犬を保護し飼い主を探す全国的にも珍しい部活「犬クラブ」がある。2020年の設立から16匹が新しい家族に迎えられた。部長の2年加納心葉さん(16)は「ペットショップの子犬たちの背景に、恵まれない犬がいる。活動を通して保護犬の存在を知ってほしい」と力を込める。(共同通信=黒崎寛子)

 動物科学科で動物の繁殖やトレーニングを学ぶ生徒ら13人が、365日命の救援活動に精を出す。保健所や民間保護団体から引き取った犬を、校舎近くの「動物犬舎」で飼育。朝は当番制で餌をあげ、週末は順番に連れて帰り、家庭生活に慣らす。「命を預かるので休みはない」という。

 他にも商業施設での啓発活動、外部講師を招いての勉強会、譲渡先への飼育の助言―。活動は多岐にわたる。

 現在唯一飼育する白のトイプードル「新絆」(雌、推定6歳)は、ブラッシング時に「にいなちゃん!」と部員の注目を独り占めする。関西の繁殖業者から滋賀県の団体に保護され、今年5月から部活で愛情を注がれる。保護時は毛が茶色く伸び絡み、歯は全て抜かざるを得ないほどの状態だった。

 保護犬と人との交流も大切にし、「たくさんの人と触れ合い、愛情を知ってほしい」と加納さん。デイサービスに通う障害者との交流では「かわいい、癒やされる」との言葉が飛び交った。

 保護する犬種は、「人気でブリーダーも多い」というトイプードルが半数を占める。新しい飼い主はインスタグラムなどで募集。保護犬が過酷な状況下にいただけに、留守時間が短い家庭など厳しく条件を設定して全会一致で決定する。見学やしつけ教室などを経て、平均3カ月で譲渡する。

 設立した顧問の幅上佳那さん(32)は「つらい経験をした犬だけが来る。生徒には保護犬が少なくなるよう活動してほしい」と見守り、加納さんは「多頭飼いや悪質ブリーダーの存在を知ってもらい、岐阜県内の犬殺処分ゼロを目指したい」と前を見据えている。

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