流出加速で職人も不足、能登半島地震の被災地 復旧進まぬ要因、住民「補助金より現場で汗を」
共同通信 / 2024年11月25日 9時2分
職人不足が能登半島地震の復旧を妨げる要因になっている。被災地の人口流出が加速した結果、解体家屋から瓦を取り除いたり、水回りを整えたりする職人も減って作業が進まない。石破政権は被災地に予備費を投じる決定をしたが、住民は「お金を出して終わりではなく現場で汗をかく人こそ必要だ」と指摘する。
石川県穴水町でキャンピングカー利用者向けの宿泊場を営む中川生馬(なかがわ・いくま)さん(45)は元日の地震で半壊認定された家屋の解体撤去を9月下旬にようやく終えた。敷地内にある納屋を新たな母屋に改装するため、地元の業者にユニットバス設置を申し込んだところ、人手不足を理由に断られた。事業の再建計画に狂いが生じている。
「もともと地方は社会の基盤を支えるエッセンシャルワーカーが足りない。いずれ深刻になると感じていたが、地震と豪雨で10年早まった」。家屋の解体を請け負ってくれた輪島市の大工は9月下旬の豪雨で自宅が土砂に流された。大工道具が水浸しになり、仕事がしづらくなっている。
「奥能登」と称される輪島、珠洲、能登、穴水の2市2町は地震の被害が特に大きかった。石川県によると、奥能登の人口は元日から8カ月で6.8%減った。住民票を移さずに避難している人を含めると、減少率はもっと大きくなる。さらに今回の豪雨災害で能登を離れる決断をした人もいるとみられる。
こうした人口流出を背景に、奥能登地方の職人不足は危機的な状況にある。穴水町の担当者は「県や国と協議しているが、正直言って独自に人を呼ぶ方策はない。奥能登全体の問題だ」と話す。(共同通信=浜谷栄彦)
石破茂首相は2014年、初代地方創生担当相に就き、地方移住を促すために各種の補助金を用意した。だが、この10年で東京一極集中は一段と進み、奥能登に象徴される中山間地は労働力が減るばかりだ。
中川さんは「これまでのように補助金を地方に分配するだけでは不十分。現場重視型の地方創生に転換してほしい」と政策の見直しに期待を寄せている。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
能登のともしび~人気者のイルカ2頭 のとじま水族館に10か月ぶり帰還
テレ金NEWS NNN / 2024年11月22日 18時23分
-
通行再開待たれる国道249号 年内にも通行可能の見通しへ
テレ金NEWS NNN / 2024年11月20日 18時39分
-
「私たち捨てられた…」103万円の壁以外の大問題を立憲・野田代表に問うた【報道1930】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月18日 14時0分
-
稲作4割減、護岸崩壊で水田が沼に 能登半島地震、国の動き鈍く遠い復興
共同通信 / 2024年11月15日 8時3分
-
能登、仮設住宅800戸で浸水 3市町、16%が被災
共同通信 / 2024年10月31日 19時4分
ランキング
-
1「京急」「京成」に照準定めた旧村上ファンドの思惑 2006年の「阪急・阪神合併」の再現を想起
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 7時50分
-
2春日部のイトーヨーカドーが閉店=「しんちゃん」のスーパーのモデル
時事通信 / 2024年11月24日 19時58分
-
3みずほ「楽天カードに出資」に透ける将来への布石 サービス協業や業務連携だけにとどまらない
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 7時30分
-
4ホリエモン「オルカンを買うよりもずっといい」…上場企業4000社から"優良銘柄"を見抜くシンプルな方法
プレジデントオンライン / 2024年11月25日 8時15分
-
5"退職代行"を使われた上司「信用ダウン」の悲劇 多いのは営業、職場に与える「3つの影響」とは
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 8時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください