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建設ラッシュに沸く東ティモールの首都ディリの光と影 「首都美しく」ASEAN加盟が目標、強制立ち退きに批判も

共同通信 / 2024年11月30日 8時6分

ローマ教皇の訪問前にミサ会場整備のため取り壊された家のがれき=2024年8月、東ティモール・ディリ(共同)

 東ティモールの首都ディリが建設ラッシュに沸いている。人口約140万人、1人当たり国民総所得(GNI)が2140ドル(約33万円)の途上国。東南アジア諸国連合(ASEAN)の早期加盟を目指し、都市開発を進める。ただ大規模な強制立ち退きを伴い、土地紛争の解決を支援する団体は「国民を支えるべき政府が生活を困難にしている」と批判する。(共同通信ジャカルタ支局 山崎唯)

 「よそにないぜいたくな暮らしを」とうたう高層ビル「ティモール・マリーナ・スクエア」がディリで建設中だ。23階の居住棟と19階のオフィス棟から成り、国際会議場としての利用も想定。屋上には海の景色に溶け込むプールもあり、2026年の開業を見込む。

 東ティモールで唯一高度医療が可能なギド・バラダレス国立病院では大規模改修が進み、日本は2024年8月、約30億円の無償資金協力を決めた。

 「外国人観光客に発展が伝わるよう、首都を美しくしなければいけない」。政府で都市開発を担うジェルマノ・ディアス氏は意気込む。高速道路を増やし、ローマ教皇フランシスコが9月に訪問した会場の観光地化を計画。国有地を不法占拠しているとしてディリ各地で少なくとも150戸を強制撤去した。

 ASEANは2022年の首脳会議で東ティモール加盟を認めることで基本合意した。時期は未定。ディアス氏は開発で「ASEANの一員になる準備を示す」と胸を張る。

 教皇が訪れたミサ会場の外周には、立ち退き対象区域が広がる。元私立大講師フェナンシオ・シメネスさんの家はミサで国旗の掲揚地とするため壊された。「不在時に家を突如撤去されたため所持品を回収できず、服は今着ている1着しかない」と旗をにらみつけた。

 早稲田大大学院で修士号を得た公務員フランシスコ・ソアレスさん(46)の家も取り壊し対象だ。「首都開発には協力したい。ただ撤去前に移住先の提供や弁償があるべきだ」と注文する。

 東ティモールは2002年、インドネシアから独立。仕事を求めてディリへ人々が流入した。同じ土地に旧宗主国ポルトガル時代のものなど複数の権利書が存在し、所有者が判然としない場合も多い。

 土地紛争の解決を支援する団体「レデ・バ・ライ」のペデリト・ビエイラさんは、立ち退き後の露天商は商売が成り立たず、日収が10~15ドルから1ドル程度に減ったと指摘する。大規模建設を外資系企業が受注し、地元労働者への恩恵が少ないことも問題視し「都市開発はいいが、国民を犠牲にしては駄目だ」と政府を非難した。

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