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「かんぴょう」は人肌に近い?医学生が縫合 栃木特産品、自治医大が練習に利用

共同通信 / 2024年12月1日 17時2分

かんぴょうを活用した「縫合シミュレーター」(下)の開発を進めている、自治医科大の間藤卓教授(右)と杉田真穂臨床助教=栃木県下野市

 栃木県下野市の自治医科大が、県特産のかんぴょうを活用し、医学生が肌の切り傷などを縫う練習に使う「縫合シミュレーター」の開発を進めている。独特の弾力が人肌に近いことに注目し、既製のシミュレーターに比べて安価で済み、気軽に使えるのが利点だ。(共同通信=松森好巨)

 特製の台に固定されたかんぴょう。刃物で切開した部分を手際よく縫い合わせた杉田真穂臨床助教は「針を刺した時の抵抗が人肌に近い」と太鼓判を押す。

 かんぴょうはユウガオの実を薄く削り乾燥させた食品で、栃木県が生産量日本一を誇る。

 発案した間藤卓教授によると、縫合の練習にはシリコーンなどの樹脂製シミュレーターを使うが、数万円台と高価な上に廃棄にも費用が生じる。

 「若手が気兼ねして積極的な練習を控えてしまうと、医師の代わりがいないへき地に赴任しても、縫合に自信を持てなくなってしまう」。そんな危機感から、安価な素材で代用できないか思案していた中、下野市内のすし屋でかんぴょう巻きを口にした時「これだ」とひらめいたという。

 県や生産者の協力を得て仕上げた試作品が同僚に好評だったことから、2019年に特許を出願し、2023年に登録された。1個当たりの費用は数百円だ。

 製品化には県産かんぴょうの安定的な調達が課題だが、杉田さんが、ユウガオのへたに近くて固い場所など食用に向いていない部分を用いることを考案。フードロス削減に取り組む地元食品加工会社との連携が実現し、調達にめどが立った。現在は長期保管する方法に知恵を絞っており、製品化の時期は未定だ。

 杉田さんは「縫合は簡単なようで難しい。技術を磨くには練習を重ねるしかないので、早く製品化して現場に届けたい」と話した。

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