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誰もが対等、大阪生まれの「ミニモルック」 ユニバーサルスポーツ人気広がる

共同通信 / 2024年12月1日 18時4分

「ミニらいとモルック」(右側)と通常のモルック

 小学生が狙い澄まして投げた木の棒がピンを倒すと甲高い音が響く。悔しがった対戦相手は高齢者だ。年齢や障害の有無に関係なく遊べるユニバーサルスポーツ「モルック」。その用具を小型軽量化した「ミニらいとモルック」の人気が広がっている。プレーヤーの声を取り入れ、誰もがさらに対等に競えるようにと大阪で考案された。(共同通信=後藤直明)

 大阪市で8月に開催されたミニらいとモルックの大会には約60チーム、3~89歳の計約300人が集まった。参加者で最高齢の石井勲さん(89)のチームは3回戦まで勝ち進んだ。「体も頭も動かして健康維持にもってこい。生きがいになっている」と笑顔を見せた。

 ルールは従来のモルックとほぼ変わらない。ピンには1~12の数字が書かれ、倒したのが1本なら数字が、2本以上なら倒れた本数が得点となる。2チーム以上で対戦し、先にちょうど50点に到達すれば勝ちとなる。投げる木の棒は通常サイズの5分の1程度の約80グラムと軽く、長さも半分ほどの13センチで握りやすく投げやすいのが特長だ。

 考案したのは、大会を開催した「一般社団法人ミニらいとモルック協会」(同市)の代表理事名和厚博さん(55)。元々ボランティアで障害者や高齢者の施設を訪問し、趣味だったモルックをレクリエーションとして紹介していた。しかし棒が重くて投げるのを怖がったり、狙ったところに届かなかったりした人がほとんどだった。

 「どんな人でも対等に遊べるように」と理想を掲げ、弱い力でもピンが倒れるよう試作を重ねて2021年に用具が完成。再び施設に持ち込むと好評で、定期的に活動するクラブを立ち上げたところもあった。23年には協会を設立し、体験会や大会を重ねて普及に取り組んでいる。

 障害がある人だけのチームが優勝するなど、名和さんは理想に近づいていると手応えを感じる。「目標は一家に一つ、ミニらいとモルックがあること。正月や盆に孫と祖父母が一緒に楽しむような光景が広まってほしい」と夢を大きく描いた。

◎ユニバーサルスポーツ 年齢や性別、障害の有無に関係なく一緒に楽しむことができるスポーツ。球を投げたり、転がしたりして白い目標球にいかに近づけるかを競うボッチャなどがある。スポーツ庁が2022年に障害者スポーツ振興の方策をまとめた報告書では、共生社会の実現のためにユニバーサルスポーツの考え方を推進することが重要だと明記された。

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