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職人が打つ堺刃物、文化や物語も“発信” 売り上げ好調、インバウンドに人気

共同通信 / 2024年12月29日 18時4分

堺打刃物の説明をするエリック・シュバリエさん=9月、堺市

 日本三大刃物の一つとされる堺刃物の人気が世界に広まっている。堺市の産業会館「堺伝匠館」の年間売上額は昨年度初めて1億円を超え、2024年度はそれを上回る勢いだ。売り上げの半分は主にフランスや米国などのインバウンド(訪日客)による。市は「刃物をきっかけに、堺に根付く文化や産業を世界中の人に体感してもらいたい」と意気込む。(共同通信=丹伊田杏花)

 同館によると、堺刃物の歴史は古墳時代にさかのぼる。世界遺産・仁徳天皇陵古墳(堺市)などの築造に鉄器が使われ、技術者が集まった。16世紀後半にはポルトガルからタバコが伝来。葉を切り刻むためのタバコ包丁が作られるようになり、品質の高さから江戸幕府からお墨付きを受けた。

 包丁作りの技術は引き継がれ、今では国内の料理人の多くに使われているという。刃物は型で打ち抜く製造法もあるが、堺刃物は職人が1本ずつ打ち、分業制で鍛冶、研ぎ、柄付けの工程をそれぞれの職人が担当している。

 同館を運営する堺市産業振興センターの海外販路開拓コーディネーターで、フランス出身のエリック・シュバリエさん(35)は「外国人観光客は『モノ』だけではなく、物語を買う」と話す。

 「歴史や自分が購入する刃物はどのような職人が作っているのかを知ることで、母国で使う際に背景を想像することができる」。エリックさんは来館者に実際に包丁を握ってもらいながら、時には数時間かけて丁寧に説明するという。

 外国人観光客は家族や友達に配るお土産として、一度に数十本買うことが多く、特に人気なのが刃に波のような模様が入っているデザインだ。

 堺市によると、同館の刃物の売り上げは新型コロナウイルス禍の21年度は約2千万円だったのに対し、22年度は約8千万円、昨年度は約1億4千万円に上った。

 同館の遠藤妃佐館長は「一番重視しているのはホスピタリティー。一人一人に丁寧に刃物のバックグラウンドを説明し、長く使ってもらいたい」と願った。

 ◎ものの始まりなんでも堺

 堺市は大阪府中部に位置する政令指定都市。中世には国際貿易都市として名をはせ、文化や技術の発信地となったことから「ものの始まりなんでも堺」と言われる。市内には鉄砲の一大産地だったことを伝える鉄砲鍛冶の作業場兼住居や、ともに堺生まれの茶人千利休と歌人与謝野晶子を紹介する文化観光施設「さかい利晶の杜」がある。

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