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「脱下請け」目指し軽量車いす生産 浜松のメーカー、パリ・パラ金選手も使用

共同通信 / 2025年1月5日 17時21分

軽量車いすを片手で持ち上げる橋本エンジニアリングの橋本裕司社長=浜松市

 パリ・パラリンピックの車いすテニスで金メダルを獲得した小田凱人、田中愛美両選手の競技用車いすを製造したメーカーが浜松市にある。金属加工が主力事業だが、リーマン・ショックを機に「脱下請け」を図るため、新たな事業として車いす製造を始めた。研究で培った軽量化の技術をスポーツだけでなく、介護の負担軽減につなげることを目指している。(共同通信=清水千景)

 1968年創業の橋本エンジニアリングは従業員約70人。数多くの輸送用機器メーカーが拠点を置く浜松市周辺で、下請けとして金型や試作部品の製造を担ってきた。

 だが、2008年9月のリーマン・ショックで売り上げが4分の1になり、リストラせざるを得なかった。「下請けだけでは社員を守れない。30年後も生き残る会社にしなければ」。橋本裕司社長(57)は高齢化で車いすの需要が高まると見込み、2009年から開発を始めた。

 浜松周辺の11社と連携できたことで実用金属の中で最も軽く、高強度なマグネシウムの加工や溶接技術を習得。車体の製造に活用し、2017年に従来のアルミニウム製の半分に当たる重さ6キロ台の車いすを商品化できた。

 少しずつ注目を集め始め、2017年秋には素材に目をつけた田中選手が競技用の製造を依頼。橋本社長は「予想外だったが、世界で戦える車いすができれば技術を示すチャンスになる」と快諾した。軽さに加え、激しく動いても丈夫な強度を確保するため、ミリ単位の調整に苦労したが、3年かけて競技用車いすが完成。同社のオファーを通じ、小田選手も使うようになった。

 車いすも含め、売り上げに占める自社製品の割合は6~7%だが、新素材の研究や海外展開を通じ、2027年までに10%に引き上げることを目指す。

 電動車いすの販売も計画中だ。約30キロある従来品の半分ほどの重さで、障害物や段差を感知できるセンサーを装着するなど、高齢者も安心して使えるのが特徴。25年10月ごろの販売を目指す。

 橋本社長は「老老介護や福祉施設での負担を減らせれば」と意気込む。

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