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温室効果ガスのメタン削減へ水田中干し延長 国内排出約4割が稲作由来、農家に収益も

共同通信 / 2025年1月8日 7時4分

「中干し」期間中の水田を確認する新篠津村ICT農業研究会の高橋一志会長=2024年6月、北海道新篠津村

 夏場に水田の水を一時的に抜き、土壌に酸素を与えて稲の成長を助ける「中干し」の期間を延ばす取り組みが北海道で広がっている。温室効果ガスのメタン排出を減らす目的で、削減分を売買する「カーボンクレジット」を通じて収益も見込める。クレジットの販売などを手がけるフェイガー(東京)の担当者松谷達馬さん(39)は「農家フレンドリーな仕組みを目指したい」と語る。(共同通信=羽場育歩)

 環境省によると、メタンは二酸化炭素(CO2)の28倍の温室効果があるとされる。国内の2022年度の排出量のうち、産業別では農業が82%を占め、その半数超が稲作由来だ。

 フェイガーによると、田に水を張ると嫌気性のメタン生成菌が活性化。中干しは6月中旬から8月上旬にかけて1週間前後行う農家が多いが、1週間延長すると菌の活動が抑制され、排出を約30%減らせるという。

 「手間がほとんどかからず環境にも良い」。2023年に取り組みを始めた江別市の農業生産法人「輝楽里(きらり)」の水田管理担当・田沢優さん(43)は話す。

 農家が中干ししている写真や記録を提出すると、フェイガーを介し、認証されたクレジット(排出枠)に応じた金額が支払われる。輝楽里は2023年に約65ヘクタールで実施し、約150万円を得た。藤城正興常務(47)は「機械の更新など、前向きな投資に使える」とメリットを力説する。

 隣の新篠津村では、参加する農家が2023年は1戸だけだったが、2024年は76戸に急増。生産者でつくる新篠津村ICT農業研究会の高橋一志会長(50)は「全体で取り組むことで村と環境のためになり、個々の収益にもつながる」と期待を寄せる。

 フェイガーの協力農家は全国でも増えているといい、松谷さんは「地場産のクレジットを地元企業に販売し、循環できる仕組みを作りたい」と話した。

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