国内唯一、ふん尿由来ガスで水素つくる施設 酪農盛んな北海道鹿追町、脱炭素燃料
共同通信 / 2025年1月22日 7時4分
酪農が盛んな北海道鹿追(しかおい)町に、牛のふん尿由来のバイオガスから水素をつくる国内唯一の施設がある。水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)が出ない利点があり、脱炭素化につながる燃料として期待される。取り組みを主導するエア・ウォーター(大阪市)の末長純也執行役員(54)は「環境を守る上で可能性が大きい事業だ」と話す。(共同通信=阿部倫人)
鹿追町によると、2019年度時点で乳牛約2万頭が飼育されている。農林水産省によると、1頭当たり年間約21トンのふん尿が出るといい、鹿追町はバイオガスプラントを核とする環境保全センターを2007年に設置。2021年には2050年までに脱炭素を実現する「ゼロカーボンシティ」への挑戦を宣言した。
センターではバイオガスからメタンを抽出して発電する一方、さらなる活用方法を検討。エア・ウォーターや鹿島(東京)などは2015年度から水素を作る事業の実証を始め、2022年に合弁会社「しかおい水素ファーム」を設立、事業化した。
メタンと水蒸気を反応させることで水素が発生する。一連の過程でCO2も出るが、家畜の餌の牧草が光合成によって吸収した大気中のCO2に由来し、新たな排出とはみなされないほか、回収が容易で活用方法を模索しているという。
エア・ウォーターの阿保洋一チームリーダー(51)は、回収率を高めて再び放出しないようにすることで「カーボンニュートラルを超える、カーボンネガティブ(CO2吸収量が排出量を上回る状態)が実現できる」と意気込む。
しかおい水素ファームでは年間最大50万立方メートルの水素が製造可能で、燃料電池車(FCV)用の水素ステーションも併設。鹿追町は公用車の一部をFCVにして燃料の供給を受けており、担当者は「いまや町の農業を支える施設。水素事業にも積極的に協力していきたい」と話す。
末長氏は「簡単につくれるクリーンエネルギーで、資源の有効活用につながる」と強調し、水素燃料の普及を目指す。
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