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隧道で絶滅危機ウナギ養殖目指す 廃線活用、実用化突破口に

共同通信 / 2025年1月29日 4時42分

ニホンウナギの完全養殖を実用化するための実験で、トンネル内に設置された水槽について説明する近畿大の渡辺俊准教授(右)=2024年12月、島根県江津市

 絶滅の危機にあるニホンウナギの完全養殖を実用化しようと、近畿大農学部(奈良市)の研究チームが2月から廃線鉄道のトンネルを活用した実験を始める。ニホンウナギの性成熟に関わるとみられる水温と暗さをトンネルで再現し、謎の多い産卵までの過程を解明する。ウナギ養殖の商業化にはさまざまなハードルがあり、研究者は「突破口にしたい」と話す。

 チームによると、ニホンウナギは産卵場所であるマリアナ海溝へ向かう際、日中に水温約5度の深海に潜り、夜間に15~25度の浅海に上がることを繰り返す。生殖機能が発達する性成熟に、温度と光量の変化が関係すると考えられる。

 チームは今回、廃線したJR三江線のトンネルを利用。広島市の設備工事業「山陽空調工業」と協力し、自然に近い環境をトンネル内部で再現する。内部は気温による温度の変化が少なく、管理に適しているという。

 ニホンウナギの完全養殖自体は2010年に成功している。ただ養殖の場合、ホルモン剤を注射して性成熟させる必要がある。ふ化の割合にもばらつきがあり、コストの高止まりが商業化への壁だという。

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