ADPやATPを含む生体分子の効率合成法の開発に成功
共同通信PRワイヤー / 2024年7月25日 17時30分
研究成果
本研究では、 再現性の課題を克服するため、脱水条件を必要としない、信頼性の高い ADP/ATP 生体分子の効率合成法の開発に取り組みました。 今回我々は、既知のリン酸基活性化剤 7) のイミダゾール部 2 位に、疎水性で立体的に小さいメチル基を導入した活性化剤を設計・合成しました。新規リン酸基活性化剤は含水条件においてもほとんど加水分解されないこと、アデノシンモノリン酸( AMP )のリン酸基に 2- メチルイミダゾール脱離基を導入できることを見出しました。最適化した反応条件において、 AMP と含リン酸基質との縮合が円滑に進行し、良好な収率で ADP リボシル化ペプチド、アルキンタグ NAD+ 、 mRNA の 5′cap 構造など、多様な ADP/ATP 生体分子を合成することに成功しました。本合成法の利点として、基質に保護基を用いる必要がないこと、エッペンドルフチューブで基質と新規リン酸基活性化剤を順次混ぜ合わせるシンプルな手順であること、多少の含水であれば収率に大きな影響を与えないことが挙げられ、再現性の高い合成法となっています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407254173-O7-R8DwGveM】
図2.新規リン酸活性化剤を用いたADP/ATP合成法とその合成例
今後の展開
本研究では、再現性の高いADP/ATP生体分子の効率合成法を開発しました。この合成法は通常の有機合成で必要なガラス器具や脱水操作が必要なく、基質さえ入手できれば、誰でも簡単に確実にADP/ATP生体分子を合成できます。本成果は、構造が均一なADP-リボース、NAD+、mRNA分子の化合物群を構築できる可能性があり、ADP/ATP生体分子の分子レベル機能解明研究や創薬研究に向けた基盤合成技術になると期待されます。
研究助成
本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業、日本学術振興会研究拠点形成事業、科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業、サントリー生命科学財団、宇部興産学術振興財団の支援のもとで行われたものです。
用語解説
1)ADP:アデノシン(ヌクレオシド)に2つのリン酸が結合した物質。
2)ATP:アデノシン(ヌクレオシド)に3つのリン酸が結合した物質。
3)ADP-リボース:リボース(5炭糖)とアデノシン(ヌクレオシド)が2つのリン酸を介して結合した物質。
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