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半導体の微細加工ダメージを診る

共同通信PRワイヤー / 2024年8月28日 14時0分


プラズマ加工後のキャリア寿命の変化を図2(a)に示します。縦軸はキャリア寿命、横軸は残膜の厚みを示しています。キャリア寿命は、残膜が薄くなると短くなり、より多くのダメージがシリコン表面近傍に発生することが示されます。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265368-O5-L78SRxKJ


この加工ダメージは、酸化膜の加工に必要な活性種、イオン、光子が酸化膜表面に衝突し各種反応を介することによって発生します。図3にダメージの形成要因の分類を示します。光子は、その多くが酸化膜を透過しシリコン表面近傍で吸収されます。この光子の吸収に伴い、弱い原子結合が切断されダメージとして検出されます。光子が酸化膜を透過する確率は高く、そのため、酸化膜が厚い場合、光子がシリコン表面近傍のダメージを形成する主要な原因となります(図3(a))。


一方、イオンと活性種は、ウエハへの入射エネルギーが異なるため、酸化膜中への侵入長に違いができます。例えば、CF3+イオンの酸化膜への侵入長は数ナノメートル程度であり、CF3活性種は数原子層程度です。この違いにより、残膜が薄い場合(数ナノメートル程度)、イオンはシリコン表面近傍に到達し、ダメージを形成します(図3(b))。活性種は酸化膜への侵入が制限されるため、酸化膜加工の終端付近でのみシリコン表面にダメージを形成します(図3(c))。CF3+イオンやCF3活性種は、酸化膜やシリコンに対しては不純物であり、そのため、これらの混入がダメージとして捉えられます。このように、ダメージは、加工初期に光子によって形成され、その後、加工の進展とともにイオンおよび活性種によって形成されると考えられます。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408265368-O6-YYB2ohTQ


次に、ダメージの修復を目指し、水素(H2)ガス雰囲気中で加工後のウエハに熱処理を施し、キャリア寿命の変化を測定しました(図2(b))。熱処理後、キャリア寿命は長くなり、ダメージが修復されることがわかりました。この修復は、熱処理に伴う原子の再配列や水素による結合の修復によるものです(図3(d))。実験データより、ダメージの修復は熱処理温度と残膜の厚みに強く依存しました。残膜が厚い場合、ダメージは熱処理温度300 ℃でほぼ完全に修復され、400 ℃まで温度を上げるとキャリア寿命が逆に短くなることが観察されました。一方、残膜が薄い場合、温度とともにキャリア寿命が回復するものの、400 ℃まで温度を上げてもダメージが残留することが示されました。これらの結果を踏まえ、ダメージの修復には、最適な熱処理温度があるとともに、シリコン上の膜が薄い場合(おおむね10 nm以下)はイオンや活性種に由来する不純物を低減することが重要であることがわかりました。

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