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アルカリ性の水に溶けたCO2をエネルギー物質に転換 ー炭素循環を実現する炭酸ガス回収・利用技術として期待ー

共同通信PRワイヤー / 2024年9月2日 14時0分

アルカリ性の水に溶けたCO2をエネルギー物質に転換 ー炭素循環を実現する炭酸ガス回収・利用技術として期待ー

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1.概要

 東京都立大学大学院都市環境科学研究科の野本晃汰(大学院生)、岡崎琢也特任准教授、別府孝介助教、宍戸哲也教授、天野史章教授らは、アルカリ性の水に溶けた二酸化炭素(CO2)である炭酸水素イオンを高効率でギ酸イオンに変換できる革新的な電極触媒反応技術を開発しました。生成されるギ酸[1]は、最小のカルボン酸であり、カーボンニュートラル[2](炭素循環社会)を実現するためのエネルギー貯蔵物質として期待されています。

 カーボンリサイクル(CO2の回収・資源化)は、温室効果ガスであるCO2を集めて高付加価値化合物に変換する技術であり、炭素循環社会の構築に不可欠です。電気化学反応(電解反応[3])は、再生可能エネルギーを活用し、常温・常圧条件でCO2の還元反応を促進できますが、大気や排ガス中からCO2を分離・回収する際のエネルギー損失が大きい課題がありました。また、ガス供給型の電解反応装置ではCO2の利用効率が低いという隠れた課題もありました。

 今回、東京都立大学の研究グループは、もともとは電気化学的に不活性な炭酸水素カリウム水溶液を原料としながら、300 mA/cm2の高電流密度において85%という世界最高のファラデー効率[4](電流効率)でギ酸イオンを合成することに成功しました。この成果は、燃焼排気に含まれるCO2をアルカリ性の水酸化カリウム水溶液で捕捉し、得られた炭酸水素イオンから直接的にエネルギー資源を合成できるだけでなく、回収したCO2の利用効率を大幅に改善できる革新的な反応制御技術です。グリーントランスフォーメーション(GX)[5]による脱炭素社会の実現に向け、社会実装を目指した研究を展開いたします。

 本研究成果は、2024年8月30日 (英国時間)付けで英国王立化学会(The Royal Society of Chemistry)が発行するオープンアクセスジャーナル「EES Catalysis」でオンライン公開されました。


2.ポイント

・排ガス中のCO2を捕捉した水溶液をそのまま有用化学品に変換する革新的な電解反応プロセス

・炭酸水素塩水溶液からのギ酸イオンの合成における世界最高の選択性および部分電流密度

・溶解したCO2を反応器の内部で発生させ、高い利用効率で資源に変換するための電極触媒反応場


3.研究の背景

 ネガティブエミッション[6]および再生可能エネルギー活用の観点から、Direct Air Capture(DAC)[7]、及び回収CO2の電解還元による燃料や化学品の生産が注目されています。しかし、分離・回収したCO2を化学反応の原料として使うには、精製や圧縮も含めた多段階の工程が必要であり、多くのエネルギーが必要でした。また、気体のCO2をガス拡散性電極に供給する従来型の電解反応装置では、CO2の利用効率が低く、供給した純ガスの多くは未反応のまま失われてしまいます。このように、CO2回収ガスの資源化に関する既往の研究では、エネルギーの浪費が大きな課題でした。

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