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ガリウム・マグネシウムのサプライチェーン強靭化に向けた提言

共同通信PRワイヤー / 2024年9月9日 12時0分

ガリウム・マグネシウムのサプライチェーン強靭化に向けた提言

図2:マグネシウムのサプライチェーンの現状と強靭化に向けた提言

2024年9月9日

EPIコンサルティング合同会社


 EPIコンサルティング合同会社(以下、EPIと呼びます)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDOと呼びます)から委託を請け、諸外国の金属資源政策、及びガリウム(Ga)・マグネシウム(Mg)のサプライチェーンを分析し、当該サプライチェーンの強靭化に向けた提言を行いましたので、以下のとおりお知らせします。


 


〇調査の背景


 カーボンニュートラルやデジタル社会の実現に向け、近年、電動車のバッテリーや車体軽量化に使用される金属をはじめ、半導体に用いられる金属材料等の重要性が一層増しています。一方で、昨今の紛争の激化をはじめとする世界情勢の激変により、一部の国で資源の輸出が制限されるなど、金属材料を取り巻く環境変化が続いています。このような環境変化を踏まえ、本調査では半導体材料のガリウム(Ga)、及び軽量化に利用されるマグネシウム(Mg)を対象に、諸外国の政策動向や研究開発動向、サプライチェーンの状況を明らかにし、我が国として取るべき対応策を検討しました。


 


〇ガリウムのサプライチェーンの現状と強靭化に向けた提言


 ガリウムはアルミ製錬・亜鉛製錬の副産物として生産され、世界の製錬品の98%が中国で生産されています。中国のアルミナ製錬のシェアは55%、亜鉛製錬のシェアは47%であることから、ガリウムが回収されていない製錬所は世界に多く存在していることを意味しています。製錬所においてガリウムの回収を行わないことがある背景としては、先進国においては環境規制によりアルミ・亜鉛製錬所におけるガリウム生産施設を併設することが困難であること、及びガリウムの市場規模が小さいことから投資回収に不透明さがあることが挙げられます。


 ガリウムの安定調達のためには、上流においては、環境影響への懸念からガリウムを生産していないアルミナ製錬所に対し、我が国が有する環境配慮型の製錬技術を供与し、調達の多様化を推進すべきです。


 中下流においては、半導体デバイスの製造工程で基板裏面を研削する際に剥離されるGaN基板の再利用を促す他、ガリウムの工程内リサイクルが実施されていない近隣諸国を含む半導体工場から排出されるGaAs基板のスクラップを回収し、国内に輸入してガリウムを精製することでバージン材の需要を抑制すべきです。


 市中リサイクルについては、LED等に含まれるGaAs基板や横型GaNはガリウム含有量が少ないため実施されていませんが、今後、ガリウム含有量の多い縦型GaNが自動車等のパワー半導体へ採用される際に、市中リサイクルスキームを作ることが求められます。

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