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我が国初の「国産 生体分子シークエンサー」誕生(阪大・産研)

共同通信PRワイヤー / 2024年10月2日 12時0分


<研究の背景>

生体分子シークエンサーとは、遺伝情報を解読するための装置で、遺伝子に基づくがんの診断や治療に必須の先端機器です。

これまで、大阪大学の研究チームは、生体分子シークエンサーを用いて、DNA・RNAの塩基配列やペプチドのアミノ酸配列を決定できることを実証してきました。生体分子シークエンサーは、がんマーカーになるDNA・RNA・ペプチドの化学修飾を直接検出できるなど、他のシークエンサーにはない優位な機能を持っています。


このように、先端医療に欠かせない生体分子シークエンサーですが、国内の生体分子シークエンサーは全て海外メーカー製品に依存しているのが現状です。国内の新規がん罹患者が年間100万人となる中で、保険適用である遺伝子検査の実施も増加しており、我が国の保険行政を圧迫するとともに、多額の国費が海外に流出しています。この先も生体分子シークエンサーを海外に依存し続けた場合、これら国費の圧迫により国民が先進医療を享受できなくなる可能性があります。これは国家レベルの課題です。生体分子シークエンサーの原理検証は、16年以上かけて大阪大学の研究チームにより行われてきましたが、計測チップと計測装置の開発が実用化の大きなハードルとなっていました。


 

<研究の内容>

大阪大学の研究チームとH.U.グループ中央研究所の共同研究開発グループは、計測チップと計測装置の材料、作製プロセス、および機能の全てを実用化の観点から見直し、評価しました。得られた評価に基づいた新設計を行い、ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社の強力な支援を受け、生体分子シークエンサーのプロトタイプ機の開発に成功しました。

今後はさらに、生体分子シークエンサーに最適化されたAIを開発することで、遺伝子に基づく高速・高精度な診断法を開発していきます。また、世界競争となっている「ペプチドシークエンサー」を開発し、ペプチド創薬における強力なツールの実現を目指します。


 

<本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)>

プロトタイプ機開発の成功により、初の国産生体分子シークエンサーの誕生が期待されます。国産シークエンサーは、多額の国費流出による医療行政の圧迫を抑制し、先進医療の持続的な提供を可能にします。遺伝情報を速く、大量に生み出す生体分子シークエンサーは、医療やAIの分野だけなく、生体分子が関わるあらゆる分野においてもイノベーションを生み出す原点になると期待されます。また、国際競争の激しいバイオ領域において、先端研究開発の推進、感染症の流行やバイオテロといったバイオセキュリティリスクに対して、国内で迅速に対応するための生体分子情報の解析等を加速することが期待される、大きな成果と言えます。

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