【高知工科大学】脱炭素社会の実現へ向け大きく前進 多元素酸化物触媒の常温常圧合成に成功
共同通信PRワイヤー / 2024年11月7日 14時0分
【研究代表者】
高知工科大学 理工学群
藤田 武志 教授、伊藤 亮孝 教授、Saikat Bolar助教
筑波大学 数理物質系
伊藤 良一 准教授
【研究の背景】
これまでは、多元素合金や酸化物を作製する方法として、超臨界条件(高温・高圧)で行うハイドロサーマル法や、瞬間加熱炉やレーザー照射を用いて瞬時に複合化する方法が提案されていました。しかし、これらの手法では、エネルギー(熱・圧力)の大量投入や特殊装置を必要とし、大量生産などの工業化に向けた高い障壁が課題でした。
【研究内容と成果】
藤田教授らは、より簡便な作製方法を実現するために研究を進め、常温常圧下でコロイド状の多元素酸化物を化学合成することに成功しました。図1に示すように、6元素および12元素からなる酸化物のX線マッピング像において、50nm程度の粒子サイズで各元素が均一に混ざっていることが確認できます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410309079-O5-E20PV3cF】
図1 走査透過電子顕微鏡(STEM)による元素マッピング像 (a) 6元素酸化物 (b) 12元素酸化物
この合成方法は非常に簡単で、金属塩、アルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水など)、および酸化剤(過酸化水素水)を混合するだけで行えます。常温常圧下で実施可能であり、熱や圧力を加える必要はなく、特殊な化学原料や高価な装置も不要です。 図2に示すように、溶液を混ぜた直後に化学反応が進行し、多元素酸化物が生成されます。この方法はスケールフリーであり、経済効率が高いため、工業化にも容易に対応できます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410309079-O6-b8bq50n3】
図2 合成時の写真
どのような元素が適用可能かを検討したところ、これまでに33種類の元素に適用できることが確認されました(図3)。これにより、実用的な元素をほぼ網羅し、多様な組み合わせで新奇な酸化物を作製することが可能です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410309079-O8-x08HU64f】
図3 適用できる元素(丸印の元素)
【今後の展開】
作製した12元素酸化物触媒は、水の電気分解における酸素発生電極として優れた活性と高耐久性を示しました。今後、本研究グループは人工知能(機械学習)を活用してさらなる高性能化を図り、多種多様な触媒の開発を通じて、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
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