基準球面レンズの表面形状を高精度に校正
共同通信PRワイヤー / 2024年11月28日 14時0分
高精度な光学素子の開発、製品の品質管理の高度化に貢献
ポイント
・ 高精度な光学素子の開発・製造に欠かせない基準球面レンズ表面の球面度を従来と同等の不確かさ4.3 nmで効率的かつ簡便に校正できるシステムを開発
・ ランダムボール法の導入と不確かさの評価法の確立により、小さい不確かさを維持したまま、精密な光学系調整が不要に
・ 光学部品メーカーの基準球面レンズの表面形状を小さな不確かさで校正できるサービスの提供へ
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202411260602-O1-diy5n17e】
概 要
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)工学計測標準研究部門 長さ標準研究グループ 川嶋なつみ 研究員、平井亜紀子 研究グループ長、近藤余範 主任研究員、同研究部門 尾藤洋一 副研究部門長は不確かさ4.3 nmで基準球面レンズの球面度を高精度に校正可能な技術を開発しました。
スマートフォンや内視鏡などに搭載されるカメラには、小型であっても高精細な画像を得ることができるレンズの存在が欠かせません。レンズや曲面鏡など球面形状をもつ光学素子の高精度化のためには、表面の凹凸をナノレベルに低減するだけでなく、絶対形状をナノレベルで設計形状と合致させることが求められます。そのため、加工された表面形状を精密かつ正確に測定して、設計された形状からのずれを評価する必要があります。それを実現する高精度な形状測定装置には、基準球面レンズと呼ばれる高い球面度をもつ面を参照する仕組みがあり、その球面度が測定の精度を左右しています。
今回、レーザー干渉計による球面度校正装置において、ランダムボール法という実用的な手法により産業界の任意のFナンバーの基準球面レンズを簡便に校正するシステムを確立しました。また、光学系調整時のエラー(ミスアライメント)による測定誤差を詳細に解析した不確かさの評価法を確立しました。これらにより、不確かさ4.3 nmの測定精度でユーザーの任意のFナンバーの基準球面レンズを校正できるようになりました。今後、産業界で使用される基準球面レンズの校正体系を通じて、高精度な光学素子の開発、製品の品質管理の高度化に貢献します。
なお、この研究成果の詳細は、2024年10月24日に「Optics and Lasers in Engineering」にオンライン掲載されました。
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