能登半島の地形は地震がつくってきた
共同通信PRワイヤー / 2024年12月5日 14時0分
2024年能登半島地震と地形の形成の関係を解明
発表のポイント
・衛星レーダ画像解析と野外調査により、2024年能登半島地震による海岸隆起・海底の陸化・山間部斜面
変動等の地形変化を明らかにしました。
・半島の北岸沿いでは、顕著な隆起とそれに伴う海底面の陸化があることがわかりました。隆起の最大量は
4mを超え、陸化域の総面積は4.5km2でした。
・山間部斜面のいたる箇所で、岩盤・土塊がまとまって下方に最大2m程度移動する形態の地すべりが発生
していました。また、若山川の谷沿いに出現した崖地形は、南北斜面の地すべりによるものである可能性
が高いことが明らかになりました。
・半島の標高分布、発達している海成段丘(注1)、多数の地すべりの痕跡という地形的特徴は、今回のよう
な地震の繰り返しにより説明可能です。
概要
地形は、地震に伴う地殻変動や雨・風・波による侵食・堆積などの影響を受け、非常に長い時間をかけて形作られます。私たち人間が地形の劇的な変化を目にすることは稀ですが、2024年元日に発生した能登半島地震では、隆起に伴う海底の陸化など、顕著な地形の変化がありました。
東北大学、東京都立大学、大分大学、ドイツ地球科学研究センターの研究チームは、衛星レーダ画像解析と野外調査の統合により、今回の能登半島地震による地形変化の詳細を明らかにしました。その結果、現在の能登半島の地形的特徴は、今回と同様のタイプの地震の繰り返しにより説明できることがわかりました。本成果は、大地震が地形形成に果たす重要な役割を鮮やかに示すものです。
本成果は、 2024 年 12 月 4 日午後2時(アメリカ東部時間。日本時間 12 月5日午前 4 時)に科学誌 Science Advances 誌に掲載 されました。
詳細な説明
研究の背景
私たちが目にする地形は、地球の長い歴史の中で起こったさまざまな地殻変動や、雨・波・風などの自然現象によって形作られています。地震(活断層の動き)は、陸地を持ち上げて(隆起させて)山地をつくり、揺れによって地すべりを引き起こし、崩壊した土砂が川をせき止めるなどして、地形に大きな影響を与えます。しかし、地震が地形形成にどのように寄与しているかは、地震が発生して初めて明らかになることも多くあります。
能登半島は本州日本海側で最大の半島で、過去数十万年にわたる隆起が海成段丘として記録されています。2024年元日に発生したマグニチュード7.6の地震は、半島の下から北側の海底へと続く活断層が150km以上にわたって活動したことによるもので、この活断層の動きによって顕著な地形変化が生じました。
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