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液体合成燃料の低コストな製造技術への挑戦

共同通信PRワイヤー / 2024年12月6日 15時0分


開発の経緯と内容

二酸化炭素から液体合成燃料を製造するためには、まず安定な二酸化炭素を反応性の高い一酸化炭素と水素の混合ガス(合成ガス)に転換し、その後触媒を用いてFT合成により合成ガスを化学反応させて合成燃料にします。この時、水素の製造に多くの電力が必要となりますが、電解技術の中で水蒸気を高温で電気分解させる固体酸化物形電解セル「SOEC」を用いるとセル電圧 1.3 V程度で電解運転が可能であり、従来の2.0 V付近で作動する水電解技術よりも大幅な消費電力抑制が可能です。


二酸化炭素から合成ガスを製造する手法としては、熱化学的な触媒反応である逆水性ガスシフト反応(CO2 + H2 ⇔ CO + H2O)が一般的に用いられていますが、本反応は平衡制約を受ける吸熱反応であることから高温での反応が必要です。そこで、これまで別々に行っていた水電解による水素製造と逆水性ガスシフト反応による高温での合成ガス製造を同時に行うことで高いエネルギー効率が期待できるSOEC共電解に注目しました。しかしながら、SOEC共電解には電解システムの大型化、電解運転による装置の劣化や部材の高温腐食の課題があり、メタン生成及び炭素析出を抑制するために、常圧、熱力学的炭素析出温度よりも高温で運転する必要があります。そこでSOEC 共電解による合成ガス製造能力および基本特性の把握、電解スタック安定性・耐久性などを検討してきました。


一方、合成ガスから液体燃料を製造するFT合成反応は、メタンからワックスまで幅広い炭化水素が生成する特徴があり、目的生成物を高い割合で得ることが困難でした。産総研はJPECらと協力して、FT合成触媒に酸触媒を組み合わせたハイブリッド触媒を開発し、液体合成燃料の収率を向上させることに成功しました。


今回、国内初となる両装置を組み合わせた一貫製造装置を産総研つくばセンター西事業所内に導入し、二酸化炭素と水から連続的に液体合成燃料を製造することに成功しました。今回開発したSOEC共電解とFT合成を組み合わせは一貫製造装置(図1)により、最大で200 ml/hの液体合成燃料が製造可能です。


本研究開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/液体燃料へのCO2利用技術開発/次世代FT反応と液体合成燃料一貫製造プロセスに関する研究開発(2020~2024年度)」による支援を受けています。

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