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ナノメートルの物質で起こる光のねじれ現象を解明

共同通信PRワイヤー / 2025年1月29日 11時0分


(6)研究者のコメント

これまでナノ物質を対象に研究を展開してきました。ナノ物質は、分子やバルク(固体)とは大きく異なる光特性を示します。その起源は、物質のサイズと光の波長のサイズが同程度になることにより、物質と光が互いに相互作用することに起因します。金属ナノ物質でおこる光のねじれの増大もよく似た起源ですが、その本質に迫ることができたことで、今後の光のねじれの先端的応用につながると期待されます。今回の成果を得る上で、精密な計測と高度な解析が必要となりました。これは、私たちのこれまでの取り組みが実を結んだ成果です。本研究で報告した物質や光の本質に迫る成果は、化学をはじめ物質科学、また生命科学分野に波及効果をもたらすことを期待しています。


(7)用語解説

※1 分子の掌性(キラリティー)

乳酸など分子には、構成元素、また構造が同じで、対称性のみが異なる分子が存在する。これらは、鏡像関係にあり、ほとんどの化学的な特性は同じで、光に対する特性のみが違う。これらをL体、D体で区別する場合がある。生体内のアミノ酸は、すべてL体である。


※2 金属ナノ物質

数nmから数mmサイズの金属粒子(構造体)。コロイドと呼ばれることもある物質。金属ナノ物質では、光により物質内部の自由電子の集団的な振動(プラズモンと呼ばれる)が誘起される。特定の波長(色)の光により、この集団電子運動が誘起されることから、特異な光学特性を示す。中世ヨーロッパの教会にあるステンドグラスや江戸切子の赤色は、金ナノ粒子による光吸収と散乱に起因する。


※3 ナノスケールの光学顕微鏡(近接場光学顕微鏡)

生体組織など微小な試料を観測する場合には、カラー撮影が可能な光学顕微鏡が利用される。光学顕微鏡は、光をレンズで集光し、これを試料に照射して観察する。空間分解能(どれくらい小さなものを観察できるか)は、光の回折現象(光の集光限界)により制限され、可視域(波長380-780 nm)では光の波長の半分程度(波長600 nmの場合、約300 nm)。これよりも小さなものを観察するためには、光の回折現象に依存しないナノスケールの顕微鏡が必要となる。これを達成する顕微鏡の一つが、近接場光学顕微鏡。この顕微鏡では、波長サイズ以下の微小な開口に発生する小さな光の粒(近接場光)を試料に照射して、試料の観察を行う。空間分解能は、開口径程度となる。本研究では、空間分解能は100 nm程度である。

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