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胃がん術後の補助化学療法は 75 歳超高齢者にも有効

共同通信PRワイヤー / 2025年2月6日 14時41分


結果

 2011年から2013年の間に国内421病院で胃がんの治療を受けた34,931人の患者のデータを分析した。補助化学療法は全年齢を通じて有効であったが、75歳超の高齢患者は75歳以下の患者に比べて、5年生存率が約10ポイント程度低く予後が不良であった。術後化学療法は、残胃がん、腹腔内以外に他の遠隔転移がないCY1のステージIVの患者にも有効であった。最も多く投与された補助化学療法はS-1単剤療法であった。

 ステージIIおよびステージIIIの患者における生存期間の独立した予後不良因子は、75歳以上、男性、術前ECOG-PS 1、術前腎機能障害、胃全摘術、D1リンパ節郭清、開腹術、残存腫瘍R1またはR2、およびクラビアン・ディンドー分類グレードII以上、補助化学療法なしであった。未分化型腺がん(低分化腺がんと印環細胞がん)は、分化型腺がんに比べ予後は不良であった。腹腔鏡手術は、独立した予後良好因子であった。ロジスティック回帰では、75歳以上、男性、腎機能障害、ECOG-PS 1以上、および胃全摘術が、クラビアン・ディンドー分類グレードII以上の合併症を発症する頻度が高かった。胃癌治療ガイドラインでは、胃切除術後の予後が不良であるCY1胃がんに対してS-1単剤療法が推奨されているが、エビデンスレベルは高くない。本研究の結果、CY1陽性胃がん症例に対する術後化学療法の有用性が示された。


考察

 S-1は、テガフール(FT、フルオロウラシル(5-FU)のプロドラッグ)、5-クロロ-2,4-ジヒドロキシピリジン(CDHP、5-FUの分解酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼを阻害)、オキソン酸を組み合わせた経口フルオロウラシルの抗がん剤であり、腎機能障害のある患者では5-FUの分解酵素阻害剤であるCDHPのクリアランスが遅れ、血中5-FU濃度の高い状態が長くなる。胃全摘術を受けた患者では、血漿中5-FUとCDHPの最大濃度と血中濃度曲線下面積が有意に増加し、それがクリアランスの遅延を引き起こす。実際に胃全摘術を受けた患者や腎機能が低下している患者では、S-1投与量の減量を必要とする頻度が高いとの既報もある1)。術後補助化学療法のコンプライアンス(服薬継続)は、75歳以上、腎機能異常、術前ECOG-PS1以上、胃全摘術、病期グレードIII期、クラビアン・ディンドー分類グレード II以上で有意に不良であった。

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