京都出身の書家は99歳になっても創作はつらつ 秘訣は「負けん気の強さ」
京都新聞 / 2023年7月5日 8時0分
京都府宮津市小田出身の書家で、文化功労者の尾崎邑鵬(ゆうほう)さん(99)=本名・敏一=が、100歳を前にますます創作活動に力を入れている。青年期まで過ごした古里で山谷を駆け巡り培った体力と、仕事の合間を縫って筆を執ってきた克己心がその意欲を支えている。
尾崎さんが主催する「由源社全国書道展」が6月24、25日に大阪市北区の府立国際会議場で開かれた。横90センチ、縦3メートルの和紙にしたためられた「渾金璞玉(こんきんはくぎょく)」の書は尾崎さんが手がけた作品で、全国から集まった約500点の中央に掲げられ、存在感を放っていた。
車いすで生活する尾崎さんが弟子の肩を借りながら自らの足で立ち、大筆で何枚も書き直して5月に完成させたという。会場では柔和な表情で来場者たちの記念撮影に応じていた。長年続けてこられた秘訣(ひけつ)を問われ「負けん気です。ここまでやってこられたのは自分に対する負けん気の強さ」と目尻を下げた。
27歳で宮津市内の農協を辞め、大阪に出て研さんを積んだ。現在は八尾市に住み、中国の書家王羲之(おうぎし)の手法を学び、蘇東坡(そとうば)や杜甫(とほ)の漢詩を書き続け、日本芸術院賞などを受賞してきた。尊敬する書家からとった雅号に合わせて若い頃は「正体不明のUFOみたいに字体が定まらない」と話していたが、2016年に92歳で文化功労者を受賞し、自分が歩んできた道が正しかったと確信したという。
弟子の岩瀬秀苑(しゅうえん)さん(80)=宮津市新浜=は「先生はこの年になっても現状に満足せず、昨日より今日、今日より明日と言って上達しようと努力している」とすごさを語る。
衰えを見せない創作意欲の源は古里にある。山に囲まれた同市小田の辛皮地域から約10キロの道のりを幼少期から毎日徒歩で通った。農協職員時代も夜間や休みに時間を見つけては書き続けた。
「僕は逃げるように宮津を出て、今は家もありませんから」と遠慮がちに言う。だが、地元で弟子が書道教室を開き、意志を継いでくれていることがこの上ない喜びだ。
「生涯、筆を持ち続ける」。白寿の書家は前を見据える。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
呼吸の在り方を会得、恩師の背中を追い続ける 21世紀国際書展自民党総裁賞の桜井峰心さん
産経ニュース / 2024年6月28日 13時34分
-
「書いた分は裏切らない」 イメージ大切に創作 21世紀国際書展グランプリの片岡竹彩さん
産経ニュース / 2024年6月27日 16時0分
-
中部日本書道会に所属する書家の作品展 約1480点の書が並ぶ 愛知県美術館ギャラリーで23日まで
東海テレビ / 2024年6月19日 16時8分
-
星野富弘さんに初の名誉市民称号 群馬・みどり市、口に筆で詩創作
共同通信 / 2024年6月18日 16時27分
-
来年大河『べらぼう』題字が決定 書家・石川九楊が担当
ORICON NEWS / 2024年6月7日 11時0分
ランキング
-
1大分県宇佐市の強盗殺人、死刑判決の被告側が即日控訴…裁判長「被告が犯人と優に認められる」
読売新聞 / 2024年7月2日 22時9分
-
2マンションから転落疑いの女児死亡 意識不明で救急搬送 札幌
毎日新聞 / 2024年7月2日 21時19分
-
3殺人事件発端は「ラーメンを食べる画像」なぜ…きょう勾留期限・旭川市女子高校生橋から転落殺人
STVニュース北海道 / 2024年7月3日 6時36分
-
4かすむ「ポスト岸田」上川外相 米兵事件巡る批判で「洋平さんと同じ道」
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月2日 22時17分
-
5なぜ日本のメディアでは小池百合子都知事の「荒唐無稽な噓」がまかり通るか《カイロ大「1年目は落第」なのに首席卒業》
文春オンライン / 2024年7月3日 6時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)