罵声の指示に個性失せた選手 バスケ元トップリーグ選手は胸のロゴに願いを込めた
京都新聞 / 2023年7月28日 7時0分
胸に刻んだロゴ「PLAY」(遊ぶ)の言葉には、子どもたちがスポーツを生涯楽しめるように、との思いが詰まっている。玉島大蔵さん(45)=京都府亀岡市安町=は「プロ選手は上質に遊ぶ。でも、勝利至上で教わる今の子どもたちは、スポーツを楽しめていないのでは」と語る。
2019年に開校した小中学生対象の亀岡ジュニアバスケットボールアカデミーの代表だ。重視するのは、選手自ら考えて技を身に付けることと、発想力や判断力を養うこと。シュート練習なら、片足でジャンプしながらやパスを受けた直後に打つなど、一定の制約を課す。制約を自ら判断しクリアする経験を重ね、どんな環境にも適応する力を磨けば「スポーツ本来の魅力の『相手との駆け引き』を楽しめる」という。
自らは、亀岡市立城西小時代にバスケとラグビーを始めた。スター選手と一対一で対戦する場面を想像するなど、遊びの延長で独自に技術を磨き、青山学院大からバスケのトップリーグのパナソニックスーパーカンガルーズに入団。現在は京都国体成年男子バスケ監督を務める。
小中学生の育成の大切さに目覚めたのは17年。地元の子どもの指導を頼まれたのを機に中学の大会を見に行くと、コーチや保護者の罵声のような指示が飛び交っていた。選手は従うだけでプレーはどれも同じに見えた。「勝たせたい、勝ってほしいというコーチや親中心の状況で、違うやろと。常に真ん中に選手がいて、子の成長のために何ができるかを考えるべき」
アカデミーでは、指導理念を共有する同志たちと議論し練習メニューを考え、実践する。子どもが指導者を恐れず、安心して自由に発想できる環境づくりにも心を砕く。
バスケを教える一方、子どもたちには早期に多様なスポーツに触れてほしいと願う。別競技で使う体の動きが、その選手ならではのプレーを生む。成長後には、体格や適性にあった競技を自分で選び、続けていける。
ただ少子化で選手は早期に囲い込まれる傾向が強まっており、現状を変えるのは容易ではない。「例えば中学部活を3カ月ごとに変更するなどできないか」。子どもたちがスポーツを長く楽しめるよう試行錯誤を続けている。
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