自然の恵み生かした電気、地域で循環 「福知山を全国のモデルケースに」
京都新聞 / 2023年7月28日 12時11分
「再生可能エネルギーは地域固有の資源。住民自らが再エネの担い手になる場を府北部に広めたい」。木原浩貴さん(45)=京都府福知山市西羽合=は、同市や市民が出資する地域新電力会社「たんたんエナジー」(同市篠尾新町)の代表取締役として、太陽光や木質バイオマスなど再エネ由来の電力の「地産地消」に取り組む。
事業運営で心がけるのは、自然の恵みを生かした電気を通じ、利用者に地域とのつながりを感じてもらうことだ。家庭の余剰電力を買い取って市内の小中学校や福知山城に供給し、収益の一部を地域課題の解決に取り組む団体に寄付する。エネルギーや資金を地域内で循環させる仕組みを目指している。
立命館大生時代に環境NPOに所属した。小学校の出前授業や教材作りに取り組み、2003年の府地球温暖化防止活動推進センター設立にも関わった。センター職員として自治体の環境政策を支援し、府立大大学院に通って海外の先進事例を研究する中で、深刻化する気候変動に対処するには地方にも電力事業の必要性を感じたという。行政に提言するだけでなく自ら行動を起こそうと、18年12月に環境の専門家ら9人と同社を設立した。
新型コロナウイルス禍やウクライナ侵攻で燃料価格が高騰し、発電所を持たない新電力会社の倒産は全国で相次いだ。電力価格の変動リスクを回避するために電力先物取引を活用し、21、22年には市民に出資を募って公共施設5カ所に太陽光パネルや蓄電池を設置した。今後も市と連携し、電力の安定供給に向けて自社の発電施設を増やす計画だ。
20年には同センターの副センター長に就任。家族が暮らす京都市との間を行き来し、全国での講演活動にも力を入れる。「自然に恵まれた府北部は再エネ活用のポテンシャルが高い。市民とともに持続可能な地域づくりに励み、福知山を全国のモデルケースにしたい」と熱く語る。
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